阪神は、第6の外国人選手として、独立リーグ、ルートインBCリーグの石川に所属するネルソン・ペレス外野手(27)の獲得した。推定年俸1000万円の格安助っ人。球団が何より期待するのは、打撃不振で来季の去就が白紙になったマット・マートン外野手(33)の“刺激剤”としての活躍だというが…。

 阪神との契約に合意したペレスは「チャンスを与えてくださり、大変うれしい。全力を尽くして日本一の阪神ファンの前で優勝に貢献したい」とコメント。ドミニカ共和国出身で、米マイナー、メキシカンリーグを経て今季から石川でプレーし、BCリーグトップの7本塁打を放つなど活躍していた。

 米メジャー経験はなく無名の選手ではあるが「(走攻守)三拍子揃った選手」と中村GM。近鉄OBで石川の取締役の佐野慈紀氏は「アベレージ打者だが、ツボにハマれば十分、大きいのが打てる。打撃は調子いいときのマートンには劣るかもしれないけど、守備は肩がかなり強いし、今いる阪神の選手よりもうまい。(石川の)フランコ監督からも“日本で成功するには、どうすればいいか”をキチンと聞いているから、面白い存在になる」と話した。

 ペレスの獲得は和田監督ら現場首脳陣が要望したのではなく、総帥の坂井オーナーの強い意向があったとみられている。理由はマートン。あるフロント関係者は「いつまでたっても不振から抜け出せないマートンに、オーナーも我慢の限界だったのだろう。現場はマートンに気を使うばかりで何もできない。それなら他にいないのかとなった。今年優勝できるとオーナーは踏んでいたから、なおさら焦っていたんですよ」。

 マートンについては、和田監督が今季すでに3試合スタメン落ちさせたが、二軍落ちの荒療治まではしていない。

 これは「アイツを下に落としたら、もう立ち上がれない。そういうタイプだから」が理由でもあったが、総帥は指揮官の姿勢を「甘い」と判断したのだろう。

 別の関係者は「一時、二軍落ちしていたメッセンジャーが交流戦から見事に復活できたのは、第5の助っ人として獲得したサンティアゴの存在があったから。ペレスの獲得はマートンに危機感を与える意味合いが大きい」と説明。言葉は悪いが、ペレスで「二匹目のドジョウ効果」を狙おうというわけだ。

 来季の去就が白紙のマートン。メッセンジャーのように意地を見せてくれればいいが、果たして…。