日本ハムの大谷翔平投手(20)が“けがの功名”で進化していた。14日のDeNA戦(札幌ドーム)に先発した大谷は7回0/3を4安打8三振1失点で両リーグトップの8勝目(1敗)を挙げたが、右足首に違和感を訴え緊急降板した。

 過去に何度もふくらはぎの違和感で降板しているだけに心配されたが「本人がスパイク(の剣)が(プレートに)ひっかかったと言っている。(ふくらはぎとの)関連性はない」(石黒トレーナー)。試合後に病院で検査を受けたが異常はなく、次回も予定通り登板する見込み。当の大谷は足首に関しては多くを語らず「状態が悪い中でなんとか相手の裏をかいて粘れた」と振り返った。

“謹慎17日間”が二刀流右腕を成長させた。大谷が最後に右ふくらはぎの違和感を訴えて降板したのは4月26日のオリックス戦。その後はチームに同行しながら患部強化メニューなどを続け、復帰戦となった5月14日の西武戦(札幌ドーム)までの17日間(13試合)は登板はもちろん、野手としての代打出場も許されなかった。

「いずれ(ふくらはぎの問題は)また起きます。おそらくゼロということはない。でもその割合を減らすために一生懸命やる。その心構えだったり考え方をより深めてもらえたらいい。その答えを僕らが教えるんじゃなく、自分で考えて引き出しにしてくれたらいいんです」(黒木投手コーチ)。首脳陣はこの間、肉体面の強化よりもむしろ、大谷が自分自身を見つめ直すことに期待していたのだ。

 復帰してからの大谷は試合の序盤を140キロ台後半のストレートで入ったり、140キロ台前半でタイミングを外してみたりと球速にこだわらず、出力の上げ下げで打者を翻弄するなど、投球の幅が増している。ふくらはぎ問題はいまだ解決していないが、改善に向けた本人の思考の深まりや投球術など、副産物は手にしたようだ。