広島・黒田博樹投手(40)が12日のソフトバンク戦(ヤフオク)に先発し、8回無失点の好投で6勝目を挙げた。今季最多の118球を投げ、3併殺を奪うなど打たせて取る投球で重量打線を抑えた右腕は「粘り強く投げていればああいう形になると信じて投げていた。追い込んでからインコースをうまく使っていけた」と笑顔をみせた。

 交流戦は登板した3戦で全勝し、完全復活をアピール。「今回が今までで一番マシな体の状態だった」と5月に登録抹消の原因となった右足首の状態も完治に向かっているだけに、今後はさらなる好投が期待できそうだ。

 そんななか、チーム内からは黒田の“標本化”を勧める声が上がっている。復帰後は年齢を感じさせない投球をみせているが「ダッシュなど走るスピードもメジャーに行く8年前から変わっていない。こんな40歳は見たことがない」(チーム関係者)と衰え知らずの体に注目が集まっている。

 そこで生きた教材として「改めてになるが、今までどんなトレーニングや食事をしてきて、どんな心構えをもって生活してきたかを本人に直接聞いてデータにしたほうがいい。若い選手が長く現役を送るための格好の資料になる」(球団関係者)と後進のために黒田の“ノウハウ”を有効活用しようというわけだ。

 赤ヘルの40代で活躍した投手といえば大野豊氏(評論家)がいるが、日米で実績を残した黒田が教材とあれば説得力も抜群というもの。「チームがこのまま浮上していければいいなと思う」と話した黒田の存在感は、グラウンド内外で増すばかりだ。