西武・森に危険な兆候…あの“いてまえ流”打者に激似

2015年06月12日 10時00分

バットの勢いは止まらない森だが…

 前途洋々に見える西武・森友哉捕手(19)の将来に、気になる警鐘が鳴らされた。森は高卒2年目の今季、これまで全61試合にスタメン出場し、打率3割、12本塁打、34打点(11日現在)と大ブレーク。若き大砲のバットの勢いはとどまるところを知らない。ただ、天賦の才能の上にドカッとあぐらをかきかねないその性格と打撃の特徴が「あの人の二の舞いになるのでは」と懸念されている。“あの人”とはいったい――。

 スラッガー・森の能力についてはもはや議論の余地はないだろう。10日の広島戦(西武プリンス)には「6番・DH」で出場し、3打数2安打1打点と活躍。チームは延長10回4―8で敗れたものの、一打サヨナラのチャンスとなった9回裏二死二塁の場面で打席が回ってくると当たり前のように敬遠された。重心の低い独特の構えと、身長170センチの肉体的ハンディを感じさせない全身を使ったフルスイングには無限の可能性が秘められている。

 その一方で、森の打者としての特徴と性格面のムラが、選手として“ある不安”を周囲に抱かせてもいる。西武OBで本紙評論家の大友進氏(40)は「森君の打撃を誰かに例えるならやはり左の中村紀洋さん」と断定し、その将来に見え隠れする不安をこう語った。

「彼の打撃の特徴のひとつがリストの強さ。本来はファウルになる外角球を時に手首を返して打球をラインの内側に入れてしまったり、スタンドインさせてしまえるのも強靱なリストの強さを持っているからこそ。今の球界全体を見渡しても他に類を見ないタイプの左打者です」。卓越した森の技術に舌を巻く大友氏はさらに、こう続けた。

「だからこそ、体のケアやトレーニングを怠ることで将来的に大きな故障に結びつくことが怖い。同じタイプだった中村ノリさんも、若い時期から左手首を何度も手術したり故障に悩まされていた。今はその素質だけで打ててしまえている森君ですが、(個人的に)あまり努力をしなくても通用してしまっている現状に『プロはこんなものか』とあぐらをかいてしまうようだと、早い段階での故障が心配です」

 森と同じ「フルスイング」が代名詞だった中村紀洋内野手(41=前DeNA)は高卒5年目の1996年ごろから、その代償として左手首を何度も故障し手術を繰り返した。中村本人は「バットを振り込んだからこそ手首が悲鳴を上げてポキッと折れた。逆に勲章やな、と思いました」などと自著の中などで振り返っているが、後先を考えないこの“いてまえ流”は現在の球界ではとても通用しない。とにかく、森がトレーニングに対する意識をこのまま変えないようだと、中村同様に“ガラスのスラッガー”になる恐れがあるという。

 森を間近で見続けた潮崎二軍監督も「放っておいたらすぐに楽をしたがるタイプ。回りの人間がしっかり目配りをしてトレーニングや体のケアをやらせていかないと、せっかくの才能を潰してしまうし、あの打ち方は将来必ず腰や手首を痛めるスイング。あれだけ小さな体を目一杯使って全力で振っているわけだから」と指摘する。これから先、ひと握りの超一流プレーヤーとなるための絶対条件である森の「努力し続ける才能」についても、潮崎監督から疑問符までつけられており、技術はすでに一級品でもセルフマネジメントの甘さは実年齢通りということか。

 中村は自由奔放な性格から「わがまま」のレッテルを貼られ、苦労も多かった。今は完全に才能だけで結果を出している森だが、長くこの球界で結果を出し続けていくためには何より、現状を認識する謙虚な姿勢とケガをしにくい体づくりのためのたゆまぬ努力が求められているようだ。