ソフトバンクは10日の阪神戦(ヤフオクドーム)に4―5で敗れ、連勝が6でストップした。だが、チームにも球場にも暗いムードはなかった。胸がすくような豪快な三振ショーが見られたからだ。

 6回一死一、三塁の場面で3番手としてマウンドに上がった森唯斗投手(23)が、杉内(現巨人)、和田(現カブス)、大場の球団記録に並ぶ7者連続奪三振を達成。森は「球団タイ記録は(報道陣に)教えてもらって、いま初めて知りました」と驚いた様子だが、救援の柱・五十嵐が「ピンチの場面、1点差の場面だからね。気持ちと体の準備が難しい中継ぎ投手が7者連続は本当にすごい」と舌を巻く圧巻の投球だった。

 森はルーキーイヤーに「勝利の方程式」の一角を担い58試合に登板、日本一に大きく貢献した2年目右腕。離れ業を演じた男のキーワードは「曲げない」だ。

 球団関係者が森の素顔を語る。「目上の人でも変にへりくだったり、こびたりしない。常に自然体でいる。帽子のツバを曲げずにかぶるスタイルも独特だけど『昔からこのかぶり方だから周りは関係ない』と言って貫いている」。さらに投球時に出す気合の声「シャーッ!」も一本筋が通っている。

「先輩たちから『対戦相手のことを考えて控えた方がいいのでは』と助言があったんだけど、彼は変えなかった。心が本当に強い。だから、ピンチでも動じないのは納得がいく」と、前述の関係者は信念もスタイルも絶対に曲げない森の姿勢に脱帽した。

 我が道を貫き、2年目もフル回転する右腕。チーム内からは「アイツ何年目だっけ?」と言われるほど、存在感は日に日に増している。