阪神・藤浪晋太郎投手(21)が10日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)に先発し、7回5安打4失点で今季4勝目をマークした。強力ソフトバンク打線相手に粘りの投球での白星。またひとつ目標の「勝てる投手」への階段を上がったが、この成長の裏側で、若き右腕は、あることに激怒している。それはまさかの…。

 ホームランテラスが設置され、東京ドーム並みの狭さになったヤフオクドームに、ズラリ並んだ長距離砲。強力ソフトバンク打線を相手に藤浪は何とかしのぎきった。李大浩、松田に一発を浴びたものの、いずれもソロと傷口を最小限に抑えるなど7回4失点にまとめて4勝目をマークした。「内容としては情けない投球でヒーローと呼ばれるのも恥ずかしいくらいの内容でした」と反省しきりの藤浪だったが、和田監督は、粘り勝った投球について「そういうところが晋太郎が目指している勝てる投手ということ」と評価した。

 またひとつ成長した感じの藤浪だが、この裏側で怒り心頭なのは、別の意味での自らの“成長”についてだった。「198センチになってるんですよ!!」。藤浪が声を荒らげて本紙に訴えたのは、チームの公式サイトなど複数の場所で記載されている自身のプロフィル欄内の身長のこと。「プロに入ってから背は伸びていません! それなのに、いつの間にか(プロフィルが)そうなってしまっていたんです。去年まではちゃんと197センチだったのに…」

 誰もが憧れる高身長は投手としても大きな武器になっていることは間違いないが、藤浪にはコンプレックスという。「嫌なんですよ、本当に…。僕は逆に(低く)サバを読みたい。それなのに1センチ高くなっている。情報は正確に伝えてくれないと困りますよ。大スポに言ってるんじゃないんです。本当に、伸びていないんです」。198センチではなく197センチ。藤浪にしてみれば、たかが1センチのことではない、というのだ。

 そんな中での白星に、ある球団関係者は「怒りすらも力に変えられる。そういうすごい投手になっているんだよ、藤浪は」と妙な言い回しでも褒めたが、投球が確実に成長しているのは誰もが認めるところだろう。とうとう首位・巨人に1・5差に迫った阪神。「197センチ」の藤浪が、今後もグラウンドでは、さらに進化した姿を見せるはずだ。