本当に大丈夫なのか――。ソフトバンク三軍が、12日から21日にかけて行われる韓国リーグ二軍チームとの交流戦のため渡韓するが、問題は韓国国内で爆発的広がりをみせている中東呼吸器症候群「MERS」対策。チームは万全を期す態勢を敷いているが、中には不安を口にする選手もおり、出発直前までゴタゴタしそうだ。

 小川史監督率いるホークス三軍は、2012年から韓国遠征を行っており、今年で4年目。先述の日程で、斗山ベアーズ(斗山)、LGツインズ(LG)、ネクセンヒーローズ(ネクセン)と各3戦ずつ計9試合を戦う。

 パワーに優れた韓国野球に触れられる数少ない機会。4年連続皆勤参加となる育成右腕の吉本は「韓国の打者は、日本の打者よりもストレート系に本当に強い。だから、今の自分の直球がどれくらい通用するのか試したい」と腕をぶしている。

 若手選手にとっては貴重な腕試しの舞台。大方は当初ワクワク気分だったが、出発直前になって雰囲気が大きく変わった。「正直あまり行きたくないんです。病気が怖くて…」「ウイルスにかかって帰国なんてシャレにならないですよ」と、若鷹たちは揃いも揃って不安を口にする。

 MERSが怖いのだ。韓国の後手後手に回る対応などもあり2次感染、3次感染と被害は拡大。感染者は108人、うち死者は9人にのぼり、終息に向かう気配はみられない。

 5日には日本サッカー協会が、U―15日本代表の韓国遠征を中止するなど、日本のスポーツ界にも影響が出始めている。球団関係者によると「外務省の渡航禁止などが通達されない限り中止はありません」とのこと。交流戦を行う韓国チーム側の事情もあるだけに即中止の判断も難しい。球団も懸念を示しており「渡航前に参加選手全員に、現在の状況を説明した上で、外出を極力控えるようにしっかり伝える」と予防意識を徹底させるという。

 とはいえ、目に見えない感染症だけに不安は尽きない。「自分もそうだけど、三軍の選手と交流のある一軍選手もいるだろうから、万が一があると大変ですよね」(ある一軍選手)。チーム関係者も「参加する選手たちは心配していますよ。こういう状況ですから、それは無理もないです」と愚痴るほどだ。

 今月の遠征は約2週間ながら、実は来月上旬にも再びKTウィズ(3~5日・水原)、SKワイバーンズ(7~9日・SK)との各3連戦のため1週間以上滞在することになっているという。「韓国は初めてなんですよ」と声を上ずらせる若手もいる。

 せっかくの機会で異文化の空気を味わいたい選手には気の毒だが、何事もなく帰国することを祈るしかない。