男気じゃない? 藤川球児の復帰シナリオ

2015年06月10日 10時00分

会見で高知ファイティングドッグスのユニホーム姿を披露する藤川球児
米大リーグのレンジャーズを自由契約になり、独立リーグ、四国アイランドリーグplusの高知ファイティングドッグスに入団した藤川球児投手(34)が8日、高知市内で会見し「また新しい人生のスタートとして最高の決断ができた」などと話した。契約は1試合ごととなる「スポット契約」で無報酬。異例ずくめの裏には、藤川サイドのNPB電撃復帰シナリオが見え隠れする。そんな中、藤川と親交深い2人が虎復帰への“緊急大エール”を送った。

 

 

 背番号11のユニホーム姿を披露した藤川は「当たり前の概念にとらわれないで新しいものを生み出したい。閉塞感は感じたくはない」としたうえで「必要とされるところで投げるのが一番。自信がなかったらやっていない」などと入団の経緯を説明。球児節全開で故郷・高知での再スタートにやる気をみなぎらせた。

 史上初めてメジャーからNPBを挟まずに独立リーグ入り。その契約内容は異例そのものだった。高知の梶田球団社長は「契約金はなし。月給いくらとかでもなく、無報酬でやっていただけるとのこと」と明かした上で「1試合投げるたびに契約を結ぶというものになる。それが何試合になるかはわかりません。本人にお任せしている」。

 単なる“男気”ではない1日契約でのプレー。それはいつでも退団できるということ。梶田社長は「もともとはウチに来てくれるだけで歓迎。藤川さんがここで終わるとは考えていない。上に行くステップの場となってもいい」と話した。

 NPBへの移籍期限は7月31日。藤川もその可能性を否定せず、「オファーがあれば、またどうなるか。そのとき考える」と話す。デビュー戦を20日(香川・徳島連合チームとのオープン戦)に設定したのもそのためだ。

 ある球界関係者は「この試合で『まだまだやれる。実力はさびついていない』ことをファンや(NPBの)各球団に証明したいのだろう。そのうえでNPBに復帰するつもりなのでは」と藤川サイドのシナリオを推察した。

 この壮大な「見本市」は、四国アイランドリーグにとってもメリットは大きい。話題性抜群の藤川の入団によって知名度がアップしたことに加え、無報酬で働いてくれる。しかも現在、リーグを中断して選抜チームが北米遠征中で後期は8月1日に開幕する。ぽっかり空いた期間にドル箱試合が組めたのだから、ウハウハだろう。今回の藤川の異例の入団は双方にとって「ウイン・ウイン」の関係ということだ。

 気になる藤川のNPB復帰先だが、先日獲得に失敗した阪神にもチャンスはある。すでに編成トップの中村GMが「今後も球児の試合は見に行く」と調査継続を明言している。

 そんな中、藤川に虎への復帰を呼びかけたのが久保田智之氏(現阪神打撃投手)だ。ジェフ・ウィリアムス氏、藤川、そして久保田氏の救援トリオ「JFK」は阪神最強と言われた。その中のひとりである“K”こと久保田氏がこう語った。

「またここ(阪神)で投げてほしい気持ちがある。自分もまだ阪神にいるし、一緒にやってきた選手は残っている。メジャーでの復活登板を見たけど、まだ日本で通用する。昔ほどの球じゃなくても、140キロ台後半は出るし、何よりもアイツには経験と技術がある」。久保田氏は、藤川と同じ34歳で2005年岡田阪神Vの貢献者。藤川への思いは誰よりも強い。そんな久保田氏の熱い言葉だ。さらに、藤川の高知商時代の恩師・正木陽監督も阪神復帰を望んでいる。「球児には、とにかく後悔のないようにしろ、応援はする、という話はした」としながらも「やっぱりお世話になったのは阪神。成長してずっと自分の面倒を見てくれたというのは本人も感じているはず。阪神で投げてくれたら…」。

 縁の深い2人からの虎復帰コール。今後、藤川はどんな道に進むのか。ますます目が離せなくなってきた。