阪神が3日のロッテ戦(甲子園)に延長10回、9―8でサヨナラ勝ちし、3位に再浮上した。しかしながら、8―0で迎えた7回に一気に追いつかれるお粗末ぶり。何とか勝ったとはいえ、フロントからは「ウチのチームは甘い!」と現場への非難が集中した。

 勝ったから良かったものの、もしも負けていれば、歴史的な敗戦になるところだった。打線は初回のゴメスの5号先制2ランを皮切りに、主軸が揃って打点を叩き出すなど6回までに計8点。しかし、7回にロッテ打線が爆発し、一気に同点。阪神が8点リードを追いつかれたのは実に40年ぶりのことだ。

 6回まで2安打10三振と快投の先発・藤浪が7回に急変した。先頭の今江が右前に放った打球を右翼の伊藤隼が後逸して三塁打になり、一死後に二塁の上本が根元のゴロをはじいて失点。守りに足を引っ張られて連続無失点が32回1/3で止まると、動揺したのか、そこから3安打を浴びて降板した。一死三塁でベンチは「1点も許さない」という前進守備を指示。藤浪の連続無失点を考えてのことだったが、上本の失策はそれが裏目に出た形。リリーフ陣も炎上してのまさかの同点劇だった。

 和田監督は「これも野球。絶対、隙を見せてはいけない。これを教訓にしていかないといけない」と話したが、このありさまに激怒したのが身内の球団フロントだ。「ウチの監督は甘い! 藤浪の記録を優先したのももう勝てる、とどこかで踏んだからだろう。ロッテの勢いを考えればチームの勝利を優先すべきで、あそこはまだ前進守備ではないだろう。勝ったから良かった、ではない。こんな試合をしていたらウチはBクラス入り確実だ」

 怒りの矛先は藤浪にも向けられた。試合後、藤浪は「(マウンド上にナイン、コーチが集まった際)完封したいかと聞かれて、したいですとは言いましたけど(前進守備には)下がってもらってもいいと言いました。でも、8点差あるし、前に出ようということになった」と発言。これに別のフロントは「藤浪も皆が記録更新を後押ししてくれたんだから、最初の1点は仕方ないとしても、その後をしっかり投げて完投するまでに持っていかないとダメ。試合後のコメントで『下がってもらってもいい』とか言う話じゃない。前進守備を意気に感じて投げないと」と苦言を呈した。3位に再浮上したが、先が思いやられる阪神だ。