阪神は29日の西武戦(西武プリンス)に1―0で辛勝。19日ぶりに先発したランディ・メッセンジャー投手(33)の7回4安打無失点の好投で4連勝を決め、4月7日以来となる勝率5割に復帰した。虎にとってこの1勝は大きな意味を持っていた。開幕から抱えてきた“2つの不安”を一気に解消できたからだ。それは…。

 3連勝でこの日を迎えた阪神だが、試合前からチーム内には「今日負けたらやばい。みんな危機感を持っているよ」と弱気な声が聞かれていた。

 今季は連勝すれば連敗の繰り返し。開幕3連勝後は連敗しなかったとはいえ、10試合で2勝8敗と大失速している。さらに楽天との交流戦開幕の3連勝のうちの2つがサヨナラ勝ちで、シーズン開幕3連勝もサヨナラ勝ちが2つ。「相手に助けられる展開が多かったのも同じ」(球団関係者)とあまりに状況が似ていたことで、いくら連勝しても「この後、負けてしまうのでは…。これで負けたら、またあの時に戻ってしまう」となっていた。

 それが今回ばかりはナインの執念が不安を上回り、4連勝して“厄払い”に成功。和田監督も「(借金が)0になるとまた違う世界が見えてくる。明日が大事」とニンマリだ。

 もう1つの不安払拭が、メッセンジャーの復活だ。開幕から不振が続き、5月11日に登録を抹消。約1か月ぶりに3勝目(5敗)を挙げたが、これまで首脳陣はメッセンジャーに頭を抱えてきた。状況次第で手を抜く悪いクセが直らず「どうしても制球重視で球速を抑えがち。ピンチにならないと力を出さない。何とか元の力で押す投球に戻ってほしいんだけど…」(あるコーチ)


 それが一軍に戻ったこの日は、序盤から力で押す投球を見せ、指揮官も「今日は初回から目一杯だった。118球、全てが全力投球だった」と納得顔。コーチ陣も「今日は原点のパワーピッチに戻った。もともと今日は元に戻るつもりだったんだが、初回(先頭の秋山に)いきなり二塁打を打たれて飛ばしていかざるを得ない状況にもなった。それも逆に良かった。今後もこれでいってくれるはず」とひと安心だ。

 試合後、メッセンジャーは「今日は良かったというか、普通に戻った。久々に勝ててうれしい。もっと勝てるように頑張りたい」と鼻息荒く話した。5割復帰でエースとチームの不安を同時に払拭した虎。このまま一気に首位争いに殴り込みをかける。