巨人は28日、西武を4―1で下し、交流戦最初のカードで勝ち越しを飾った。菅野智之投手(25)を筆頭に投手陣は開幕から抜群の安定感を発揮し、坂本勇人内野手(26)を4番に据えた打線もようやく上昇ムード。首位DeNAと1差に迫ったセ・リーグ王者の強さは本物なのか。元巨人ヘッドコーチ、前西武監督として両軍を知り尽くした本紙専属評論家・伊原春樹氏は、好スタートを切った原巨人の“交流戦スパート”を予告した。

【伊原春樹 新・鬼の手帳】注目していた3連戦ではあったが、結果は順当だったのではないか。3戦目、西武先発の西口は、今季初登板。調整は万全に積んできただろうが、前回の阪神戦からグンと調子を上げてきたマイコラスとの投げ合いでは、少々分が悪いと見ていた。

 西武打線がいかに好調でも、好投手と当たればそう簡単に打ち崩せるものではない。初戦好投の菅野を中心にした巨人投手陣の防御率は、12球団トップ(28日現在、2.54)。地味ではあるが、しっかりした“守りの野球”の強さを見せつけた格好だ。

 一方、打線は勢いが出てきたとはいえ、まだまだ物足りない。私がヘッドコーチとして巨人に在籍していた時代は打率ランク上位にズラッと並んでいたものだが、規定打席到達者中22位(28日現在)の坂本が、2割4分7厘でチームトップでは…。それでも白星を拾っているのは、各打者がここぞで勝負強さを発揮しているからだろう。

 打てないが“勝負強い打線”の象徴が、初戦で5打点を挙げた4番の坂本だ。4番は本来もっとどっしりしたホームランバッターが座るべきだし、異論はあるだろう。しかし現状のメンバーを見渡せば、私でも坂本を4番に選ぶ。重圧に物おじせず力を発揮できるのは、坂本しかいない。打率は低いが、得点圏打率はリーグ2位(28日現在、3割4分8厘)。原監督も「勇人、お前さんしかいないんだ」と心の中では申し訳なく思っているのではないか。

 今季は外国人選手の活躍も見逃せない。投手陣ではポレダ、マイコラス、マシソン、野手ではアンダーソンが最高の働きをしている。フランシスコを近々再昇格させるとの話もあるようだが、無理に外国人枠を空けてまで上げる必要はない。せっかくの良い流れを止める方が怖い。フランシスコを使うのは誰かが調子を落としてからでも遅くはない。

 今年から交流戦は試合数が減り、3連戦となったことで投手層の厚さが試される日程になった。巨人ほど充実した先発陣を抱えているチームはないだけに、ここをきっかけに突っ走る可能性は十分あると見ている。

 巨人の話ばかりしてきたが、西武の状態も悪くない。岸が出遅れているのが痛手だが、今年は中村、浅村が万全。私が重圧をかけすぎてしまったのかもしれないが、秋山も元気がいい。

 森も捕手としては未熟だが、打者として非凡な力を発揮している。私としては思わず「もう1年やりたかった」と言いたくなるほどだ。優勝を狙える力は、巨人同様に持っている。

 (本紙専属評論家)