交流戦は今季も巨人が“主役”か――。昨季の優勝チームは26日、郡山で西武と初戦を迎える。強打者揃いのパ球団に対し、セ・リーグトップの防御率2・57を誇るG投手陣がどう立ち向かうかが見どころだが、今年もうひとつ目を離せないのが、新体制となったフロントの動き。各球団へのあいさつ回りに奔走中の堤辰佳GM(49)の動向にも注目が集まっている。

 今季から隔年でホームとビジターを入れ替える3連戦6カードの18試合方式となってスタートする交流戦。昨季の覇者・巨人は25日、初戦の西武戦へ向けて福島・郡山へ移動した。

 原監督は昨季、チームを鼓舞するためにあえて「優勝を狙う」と宣言して有言実行の栄冠をつかんだ。だが「今年は(優勝宣言は)ないね。自然体で戦う。従って大きなことも言いません」と話し「2年間で1つの交流戦って感じだもんね。『来年がインだ』という考えですね」と得意のゴルフを引き合いにした言い回しで笑いを誘った。

 一方、リラックスした現場とは対照的にフロントの動きは熱い。11日に新GMに就任した堤氏は現在、積極的にライバル球団首脳へのあいさつ回りを行っている最中。交流戦開幕後はパ球団幹部とも続々と顔を合わせることになるが、今後はそうした席がトレード交渉の場となる可能性があるというのだ。

 今季の巨人は開幕後に貧打解消の切り札としてフランシスコ(前レイズ)を獲得。話題の助っ人に関してはチーム内外で賛否両論あるものの、球団としては「外国人補強は打ち止め」(フロント)。

 一方、国内トレードに関しては今も担当者が調査を続行している。高齢化が進むチームで堤GMに課せられた重要な任務のひとつが、今オフにかけた大胆な人員整理とされている。球団フロントによれば「一、二軍を行き来している30歳以上の選手は、ほぼ全員がトレード候補。良い話があれば一気にまとまる可能性は高い」という。

 前任GMの原沢氏も行動派ではあったが、外部との交渉事はやや苦手との評価もあった。一方、堤氏は球界に広い人脈を持ち“決断力”にも定評がある人物。前出フロントは「堤GMは以前から不遇な選手の声に耳を傾けてきた人で、飼い殺しを嫌う。周囲には日ごろから『外野のAや中継ぎのBは、働き場所があるうちに外へ出してあげたい』と具体的な選手名を挙げて話している」という。

 同一リーグでシーズン中のトレードとなるとやりにくい面もあるが、交流戦後のパ球団となら話は別だ。トレード期限は7月末。今夏はフロントの動きからも目が離せない。