巨人は21日、阪神に1―2で痛い逆転負けを喫した。先発のマイルズ・マイコラス(26)は8回途中2安打1失点と好投したが、救援陣が崩壊し、またも来日初勝利ならず。打線は8安打を放ちながら、結局1点止まりに終わった。本調子とはいえない相手にまさかの連敗で、ショックを隠せないGナイン。ライバル球団からは選手起用に疑問の声も上がっている。

 マイコラスはこれまでで一番のデキだった。150キロ超の直球とカーブを駆使し、4回まではパーフェクト投球。5回に伊藤隼に初安打は許したが、その後7回まで無失点と完璧に虎打線を封じた。6回にはアンダーソンの適時二塁打で先制。だがベンチが守りに入った瞬間、流れが変わった。

 8回、マイコラスが先頭の福留に二塁内野安打で出塁を許すと、原監督はここで山口にスイッチ。しかし、これが誤算の始まりだった。

 今季不調の左腕は制球が安定せず、四球で一死一、二塁と危機を広げて降板。続くマシソンもいきなり死球で満塁とすると、新井の犠飛、鳥谷の右前打で一気に逆転を許した。試合後、顔を紅潮させた指揮官は「全員で1点を守りにいったが、守りきれなかった」と唇をかんだ。

 投手陣が踏ん張りながら、得点が入らないのは毎度の展開。しかし、この日はネット裏の007からベンチワークにも疑問の声が飛び出していた。試合前、某スコアラーが指摘していたのは不振にあえぐ坂本の4番起用についてだ。「バットを寝かせてから一時期より良くなっています。でも、まだ得意の内角球に差し込まれている。こちらとしてはありがたいのですが、いつまで彼を4番で使い続けるんでしょうか」と首をかしげていた。

 一方、別のスコアラーは“勝利の方程式”の異変を指摘。「先発陣は安定していますが山口、マシソン、澤村が決して良くない。なかでも山口はヒジが下がって“上半身投げ”になっているから、球威もキレも落ちている。3人を引きずり出せれば、どこかでチャンスはある」と話していたが、皮肉にも試合はその通りの展開となった。

 坂本はこの日も4打席凡退に倒れ、打率は規定打席到達者ではリーグで下から2番目の2割1分3厘。それでも試合後は「前と比べれば感じは良くなっている」と前を向いた。早くも今季3敗目を喫した山口は、言葉少なながら「(状態は)いつも通りです」と語った。

 常勝巨人を支えてきた投打の柱の復調を、首脳陣は我慢強く待っている。だが、彼らがもがいているうちは、チームも苦戦を強いられそうだ。