阪神が21日の巨人戦(甲子園)に2―1と逆転勝ちし、借金を3に減らした。今季初めて、このカードに勝ち越した原動力はプロ初登板初先発となったドラフト1位ルーキーの横山雄哉(21)。惜しくも初白星とはならなかったが、7回6安打1失点と力投。大舞台でいきなり結果を出したこの男の“素顔”は…。

 開幕から故障で二軍暮らしと出遅れていた「ドラ1男」がそのうっぷんを晴らすかのような仕事をしてみせた。初回から安定した投球で巨人の強力打線を翻弄。6回二死二塁でアンダーソンに適時二塁打を浴びたが、7回まで6安打5三振1失点と上々の内容だ。

 残念ながら打線の援護が遅れて初白星には届かなかったが、横山は「チームが勝ったことが僕の中で一番うれしい。腕を振って気持ちを乗せて投げることができました」とにっこり。和田監督は「立派だ。立ち居振る舞いも堂々としていた。次も使いたくなった」と絶賛し、中西投手コーチも「勝利投手に値する投球だ」と手放しで褒めた。

 初登板の舞台が本拠地の甲子園で相手は巨人。さらに前日20日にプロ初完封勝利を挙げた1歳年下の藤浪がお立ち台で「次は横山さんがやってくれる」と発言。そんなプレッシャーも横山はすべてはねのけたが、これには、この男の“ひょうきんキャラ”もあったようだ。

 合宿所「虎風荘」での横山評は「明るくて先輩からも後輩からも好かれる人物」(ある二軍選手)。仲のいい同僚選手は揃って「あいつはダンスがうまいんですよ」と証言する。そして「(横山は)自分でテンションが上がると(韓国の大人気男性グループ)BIGBANGの『FANTASTIC BABY』を完全コピーしたダンスをしてくれるので、寮(の中)は盛り上がっているんです」というのだ。

 スタンドで観戦した辛口で知られる“伝説のOB”江夏豊氏も「木でいえば、まだ大木。ここからどんな枝葉をつけていくのか。鍛え方によってはいい投手になる可能性は高い。初登板なのによく投げた」と評価した横山。一進一退が続く阪神の救世主になれるか。“BIGBANGダンス完コピ男”の次回登板が楽しみだ。