右肩筋疲労のためリハビリ調整を続けてきたソフトバンク・松坂大輔投手(34)が20日、高知市営球場で行われたウエスタン・オリックス戦に登板した。実戦マウンドは3月17日のロッテとのオープン戦以来で、二軍戦とはいえ公式戦のマウンドは日本復帰後初めて。だが、わずか5球で失点するなど、2回1失点と内容はいまひとつだった。そんな松坂の実戦復帰を相手ベンチから見守った“元キラー”を直撃した。

 わずか5球で失点を許した。先頭の堤に2球続けた真っすぐを中越え三塁打。続く岩崎にはスライダーをあっさり左犠飛された。その後は抑えたものの、松坂は最速142キロを含むこの日の32球には満足できなかった様子で「全体的にボールが高かった。まだまだです。(今後)ゲームで修正したい」と話した。

 そんな松坂に熱い視線を送ったのが、オリックスの塩崎真二軍守備走塁コーチ(41)だ。現役時代の2001年には15打数6安打で対戦打率4割を誇るなど「松坂キラー」として有名で、この日の登板にも興味津々。試合後は「いやあー、イメージが変わりました。真っすぐが全然来ていなかったですよね。最速は142キロか…。現状としては、変化球を主体としたピッチングで、低めを丁寧に突いていくしかないんでしょうね」と率直な感想を語った。西武時代の面影すらなかった右腕に寂しさを感じたという。

 試合前、塩崎コーチは「直球に打者がどんな反応をするか。彼が日本でまた成功するための鍵はストレート。ベルトより高めのボールに空振りすればいいが…。もし真っすぐをバンバン打たれるようだと厳しい」と話した。だが、堤に許した三塁打は真ん中高め、138キロの直球だった。

 塩崎コーチは現役時代、松坂との対戦で「速球を完全に捨てて、スライダーだけを待っていたから打てた」と、分かっていても打てない真っすぐより、変化球を狙うことで攻略に成功したという。だが「155キロのボールを投げられていたころは、変化球もスピンが利いていて曲がりが大きかった。今、145キロくらいだと、スピン量が減って変化球の質も落ちている。だから、変化球に頼るピッチングは危険」と、力が衰えても直球の質を上げることが大事だと指摘した。

 そして「球速以上に速く見せる投球術や、遅くても空振りを奪える直球を投げられるようにならないといけない。変化球でごまかす投球では、先発は厳しい」と怪物復活の鍵を語った。

 早期の一軍昇格を目指す松坂だが、最後に塩崎コーチが「投球スタイルを変えることは大変な作業だと思う」と気遣ったように、右腕の復活ロードは平坦ではない。