中日の新助っ人左腕、ラウル・バルデス(37)が10度目の先発で、ついに来日初勝利をマークした。

 19日の広島戦(浜松)で7回2失点と好投。初のヒーローインタビューではファンに向かって「ここまで勝てなくても応援してくれてありがとうございます。今日勝てて本当にうれしいです。皆さんのおかげです」と感謝の言葉を述べた。

 今季は開幕からフル回転。登板予定試合が雨天中止となった影響で中7日が1回だけあるが、それ以外の登板間隔は中4日4回と中5日4回。そのすべての試合で6回以上を投げている。19日現在、投球回数は両リーグトップの68回。先発投手の指標となるクオリティースタート(6回以上、自責点3以下)も10試合中、9試合で記録し、防御率も2・65。首脳陣は「これだけ中4日と中5日で投げ続けられるなんて化け物だよ」と舌を巻き、ここまで勝ち運に恵まれなかったことが不思議なほどだったが、そんなバルデスにはモチベーションもあった。

 チーム関係者がこう話す。「年俸は安い(40万ドル=約4800万円、推定)けど、その分バルデスの出来高には、たくさんの条件をつけていて、投げれば投げるほど、どんどんつくようになっているそうなんだよ」。それによると、勝ち星がつかなくても、クオリティースタートを決めれば、それだけで100万円近くになり、中4日で登板した場合やイニングを重ねれば重ねるほど、出来高がつくという。

 森ヘッドコーチは「あいつは本当の野球小僧だよ。中3日だって『俺は行く』と言うんだから」とそのハングリー精神に目を細める。今後もバルデスは投げて投げて投げまくる。