阪神が17日の中日戦(ナゴヤドーム)も1―6で落とし、借金は再び「4」に戻った。中日の予告先発は苦手の吉見一起投手(30)だったが、右ヒジの軽い張りで登板を回避。緊急代役は“格下”の武藤となり、本来ならしめたはずなのに、打線は沈黙…。和田豊監督(52)は「まったく関係ない」と投手変更を言い訳にしなかったが、チーム内には中日への情けない“ブーイング”が聞かれ、弱腰ムードが漂っていた…。

 この日の練習開始前、阪神は中日から予告先発だった吉見が体調不良で急きょ、登板を回避するとの報告を受けた。代役はプロ5年目の武藤。吉見に過去何度もやられてきた阪神にとって朗報のはずだったが…。

 球団関係者の一人は今回の中日の投手変更に不満をぶちまける。「制度上、問題がないとはいっても中日はウチに2度目でしょう? うちは一度も先発を変更したことがないのに…。厳しいペナルティーもつけてもいいんじゃないか」

 これも約1年前の「悪夢」があったからだ。それは昨年5月7日の同戦(ナゴヤドーム)。予告先発の川上が腰痛で回避し、代役となったのはプロ2年目で初先発の浜田達。この試合で阪神は敗れただけでなく初完封まで献上し、大いに恥をかかされている。

 それだけに今回も“悪夢の再現”を不安視したのだろう。試合前から「今、ウチが打てていないのは速い球で押してくる武藤のような投手。吉見よりもやりにくいかもしれない」「エースの吉見に負けるのならともかく、急きょ投げた武藤に負ける方がショックは大きい。選手がダメージを引きずらなければいいけど…」と何とも情けない声が飛び交っていた。

 中日に2度もドタキャンされればその気持ちも分からないではないが、格好悪いことに武藤には5回無失点と苦しめられ、後続の投手陣も攻略できず、辛うじて9回にゴメスが一発を放っただけ。先発の岩崎も乱調に終わり、まんまと嫌な予感が的中してしまった格好だ。

 試合後、関川打撃コーチは「投手変更の影響はない」と言い、和田監督も「相手の先発? そこは関係ない。今日は完全に自滅」と敗戦の言い訳はしなかったが、昨年に続いてまたも投手変更で恥をかいてしまった。一進一退が続く阪神。重苦しいムードは続く。