阪神が13日のヤクルト戦(神宮)に7―5で勝利し、連敗を3で止めた。打線が12安打と爆発。実に12試合ぶりとなる2桁安打での白星だ。中でも復調の兆しを見せたのは「5番左翼」でスタメン復帰したマット・マートン外野手(33)でマルチ安打に激走…と大ハッスル。和田豊監督(52)の「絶妙操縦法」が功を奏したようで…。

 人が変わった…とはまさにこのことか。これまで打撃不振に緩慢プレーとトラ低迷の元凶だったマートンが一転して大ハッスルだ。2回、二塁打で出塁すると福留の二ゴロの間に三進。続く伊藤隼の右飛で本塁に突入し、右翼手・雄平の好返球で憤死したが、捕手の西田に強烈なタックルをブチかました。

 このプレーにヤクルトベンチは激高。両軍ナインが飛び出し、あわや乱闘の雰囲気となったが、平田ヘッドコーチは「(マートンは)今日、アグレッシブに動けた。あれはナイス走塁やろ!」。マートンは2013年9月14日のヤクルト戦(神宮)でも相川(現巨人)に体当たりプレーを見せ、当時はその日からの5試合で打率5割5分と大爆発しており、球団関係者は「ああいうプレーが出る時は乗ってきた証拠。ここからマートンは必ず打つ」と“吉兆”の猛タックルともみている。

 もっとも、そんなマートンの復調を“演出”したのは、これまで「外国人選手に甘い」と再三批判されてきた和田監督だ。ある球団関係者はこう絶賛する。「監督はマートンを10日の広島戦で一度スタメン落ちさせて、すぐに今日復帰させた。しかも打順を本来の5番にした。突き放しても、すぐにまた引っ張ってくる。それを意気に感じるマートンの性格を熟知している監督だからこその起用。6年前の来日から打撃コーチとしてもマートンと時には激論を交わすなど、ずっと指導してきたから性格を知り尽くしている。今回の操縦は見事だった」

 この試合までマートンは13打席連続無安打。敵軍のヤクルト関係者からは「もう復帰でいいのか。試合に出しても7番あたりじゃないのか」との声も出ていた。もしも、この日もマートンが不発だったら、和田采配は再び批判されそうなムードだった。

 試合後の和田監督は「(マートンは)打席で気持ちが入っていたし、集中もできていた」とにっこり。「いい勝利だった」と話したマートンはそんな指揮官のためにも打ちまくるしかない。