BCリーグ石川の選手兼任監督 フランコに聞く「アナタの実年齢は?」

2015年05月10日 11時00分

フリー打撃では快音を響かせたフランコ兼任監督

“伝説の男”が帰ってきた。メジャー通算2586安打を誇り、かつてロッテの最強スラッガーとしても活躍したフリオ・フランコ(56)だ。今季からBCリーグ・石川ミリオンスターズの選手兼任監督に就任。強烈な印象を残したグリップを高く上げる独特のフォームも健在で、8日現在、10試合に出場して33打数11安打、打率3割3分3厘、0本塁打、4打点と格の違いを見せている。17年ぶりに日本球界にカムバックした“鉄人監督”の野望とは…。熱い胸の内を聞いた。

 

 ――1998年のロッテ時代以来、17年ぶりの日本の生活は

 

 フランコ兼任監督:昔と特に変わらないけど、千葉でもNPBでもないからね。ただ、ここ(石川)が始まりになればいいと思っている。

 

 ――あなたほどのキャリアと実績ある選手がなぜ石川を選んだのか

 

 フランコ:日本が好きだし、監督として日本に戻って来たいという思いはずっとあった。BCリーグでいろんなことを学びながらいずれNPBで監督ができれば、と思っている。何かを成し遂げようとする時のプロセスのスタート地点に選んだんだ。

 

 ――監督になって考え方が変わった部分は

 

 フランコ:選手だと自分自身を準備する。選手ならエラーしても次のプレーがあるし、打席で考えることは自分のことと相手投手のこと。守備なら打者の打つ方向の傾向を考える。監督はチーム全体を一丸となれるように準備し、構成していかないといけない。同じ野球でも違うもの。忍耐強くやらないといけない。

 

 ――日本野球から学ぶことは

 

 フランコ:毎日、NPBの試合を見ている。この間、楽天とソフトバンク戦を見ていると1―1で9回無死一塁、左投手対左打者で(ソフトバンクの)工藤監督はエンドランのサインを出した。そういうことを勉強していかないといけない。日本野球なら普通バントの場面だろう。でも工藤監督はエンドランを選択した。リスペクトするね。そういう新しいことを毎日勉強している。野球はあまり点の入らない戦術のスポーツだ。

 

 ――石川の選手に伝えたいことは

 

 フランコ:若い選手が多いのでたくさんミスもする。肉体のことはしっかり準備できるけど、メンタルも体と同じくらいのレベルで準備をしないといけない。それができていないね。若い時は自信がないもの。経験がメンタルを助ける部分もある。教えることと経験で成長していくんだ。

 

 ――開幕から連敗が続くなど、苦しいスタートになったが

 

 フランコ:まだ始まったばかり。スロースタートだ。人生も同じでどうやって始まって、どうやって終わるかが大事だ。

 

 ――開幕してから好調だ。コンディションづくりは

 

 フランコ:食べること、トレーニングすること、しっかり休むこと。フィールドのこと(練習)は心配ない。この3つができれば結果はついてくる。

 

 ――それが長くキャリアを積む秘訣か

 

 フランコ:そうではない。神様が長い間プレーできる体を与えてくれ、自分に能力がないとプレーしようにもできない。能力を生かすには自分自身をしっかり管理してケアしないといけない。

 

 ――日本のファンに印象深い“スコーピオン打法”も健在だ

 

 フランコ:私のフォームで他に打っている人を見たことあるかい? 誰に教わったわけでもなく、自然にそうなったんだ。グリップの位置を少しずつ上げていって、ちょうどいいところでこうなった。小さいころからどこが一番しっくりくるか探していた。今から位置を下げるのは難しいよ。

 

 ――相手投手に威圧感を与える最強フォーム

 

 フランコ:そんなことないよ。あんなフォームでは打てないだろ、と思われているよ(笑い)。

 

 ――メキシカンリーグ在籍時の2008年途中に引退し、昨年に米独立リーグで兼任コーチとして現役復帰した

 

 フランコ:メキシコでヒザを痛めてプレーを続けられなくなった。でも結局、自分は野球選手。エンジニアでもムービースターでもリタイアして他の仕事をしようと思ってもできないだろう。

 

 ――自分の居場所はフィールドしかないと

 

 フランコ:そうだね。天職と思っているし、フィールド上が自分が属している場所と思って戻ったんだ。

 

 ――選手を教え、育てる喜びを感じるか

 

 フランコ:自分が教えてもらったことを若い選手に教える喜びはある。日本だけでなく、世界のどこでも自分が教わったことを教えていくんだ。

 

 ――日本人がメジャーで成功するのが難しい時代になっている。現状をどう見ているか

 

 フランコ:向こうの方がいい打者が多いから難しい。何人かうまくいかない選手がいても全員が絶対失敗するわけじゃないし、成功する選手も何人かはいる。挑戦は続けるべきだ。

 

 ――ロッテ時代(95、98年)に対戦したイチローの印象は

 

 フランコ:メジャーで通用する選手と思っていたし、成功するとその時から言っていたよ。日本人の選手の中で一番素晴らしい打者の一人だった。実際に見ていて成功は予想できたよ。

 

 ――将来はMLBよりNPBの監督を目指す

 

 フランコ:NPBで監督をするのが夢だね。日本でプレーすることと監督をすることは全く別の感覚だ。今、日本にいる限り、日本で監督をやりたい。野球への情熱は言葉で表現できない。

 

 ――やはり理想は選手兼任か

 

 フランコ:そこは分からない。難しいと思っているけど…楽しみにしといてくれ。

 

 ――最後に、あなたの実年齢に諸説あるが…

 

 フランコ:確かに諸説あるのは知っている。でも、大切なのは自分が何歳であるのか、は自分で分かっていることだし、野球では年は関係ない。気にしていない。56歳? イエス!

 

 ☆フリオ・フランコ 1958年8月23日、ドミニカ共和国出身。1978年にフィリーズと契約し、82年にメジャーデビュー。88年から91年にかけてシルバースラッガー賞(監督、コーチ選出による打撃のベストナイン)を受賞。レンジャーズ時代の91年には打率3割4分1厘で首位打者を獲得。95年と98年にはロッテで活躍した。メジャー最年長本塁打記録を持つ(48歳254日)。2008年5月に引退したが、14年に米独立リーグの選手兼任コーチとして現役復帰。今年からBCリーグ・石川で選手兼任監督を務める。メジャー通算2586安打。