試合を決めたのは柳田の特大弾だった。5日のロッテ戦(ヤフオクドーム)は延長11回、4−3でサヨナラ勝ち。この日が52歳の誕生日だった工藤監督には最高のプレゼントとなった。3連勝で貯金は今季最多の5。首位・日本ハムを1・5ゲーム差で追走する大本命がトップに躍り出るのは時間の問題だ。

 打った瞬間、柳田には確信があった。延長11回、一死走者なし。放たれた打球は右翼席上段に一直線で飛んでいった。工藤監督も大興奮。両手を突き上げて万歳だ。

 ロッテの守護神・西野から放った劇的な5号サヨナラ弾。文句なしのヒーローは「決められたらいいなと思って打席に入りました。最高です。練習通りに打つことができた。いい打ち方ができました」と自画自賛した。

 この日は指揮官の52歳の誕生日だったが、重苦しい展開だった。2点リードの6回に森が同点2ランを被弾。打線は5回から無安打で、工藤監督は「自分が現役時代の時に、あまり誕生日に勝ったことがなかった。僕が悪いのかな。ベンチにいないほうがいいのかなと思った」と嫌な空気を感じていたという。

 そんな中での柳田の会心の一振りだった。お立ち台では指揮官に向け、ハッピーバースデーを熱唱。「おめでたい日に、いい勝ち方ができて幸せです」。そのバットでチームを3連勝に導いた。

 投げては昨年5月に右ヒザを手術した寺原が、約1年ぶりとなる復帰登板で快投を演じた。4回にクルーズの中前適時打で同点に追いつかれたが、最速150キロと直球の走りは抜群。任された5回を投げて3安打1失点だった。

 工藤監督とは横浜(現DeNA)在籍時にチームメートとして3年間プレーした。2007年には揃って先発ローテーションを担った。「いろいろ教えてもらったし、食事にも連れていってもらった」。そんな指揮官の期待に応えた。来週は5試合しかないため一度リリーフに回るが、工藤監督は「あれだけの投球をしてくれた。チャンスを与えていきたいと思う」と次回の先発を明言した。

 これで貯金は今季最多の5。投打の歯車がかみ合い始めてきた工藤ホークスが、いよいよ本領発揮だ。