巨人の巨漢助っ人が鮮烈な本拠地デビューを飾った。新外国人のフランシスコが2日の阪神戦(東京ドーム)に「5番・一塁」で先発出場し、いきなり決勝適時打を放つ活躍を見せ、1—0の勝利に貢献した。巨人は待ちわびた左の大砲の働きで5月の初戦を制して今季最多の貯金5。がっちりと単独首位をキープした。

 ゴールデンウイーク真っただ中に組まれた伝統の一戦。試合前から主役はこの日デビュー戦を迎えたフランシスコだった。

 ベンチ前を埋め尽くしたメディア、評論家陣の視線を独占しながらのフリー打撃は、44スイングで10本のスタンドイン。差し込まれてフラフラと上がった打球が、次々フェンスを越えていく。真芯でとらえた打球の勢いは凄まじく、中堅右のスタンド最深部に設置された長嶋終身名誉監督の「3番」のユニホーム看板をドカンと直撃。これにはウオームアップを開始していた阪神ナインも目が点になっていた。

 試合前のミーティングでは、原監督が「(フランシスコは)こう見えて(27歳と)若い。みんな甘やかさないように。今はおなかが出ているけど、8月ぐらいになったらスーッとなるよ」と冗談交じりに紹介。フランシスコ自身の緊張もこれでほぐれ、試合では十二分に存在感を発揮した。

 阪神先発の藤浪に対し、まずは豪快に2打席連続の空振り三振でスタート。G党からはため息も漏れたが、三振率の高さは元々わかっていたことだ。“フランシスコ祭り”の盛り上がりが最高潮に達したのは0—0で迎えた7回だった。

 先頭の4番・大田が中越え二塁打で出塁し、先制の絶好機で迎えた第3打席。その少し前、フランシスコはベンチで同じスペイン語が母国語のアンダーソンから「内角のカットボールをとらえろ」と助言を受けていた。カウント2—2からの5球目はそのカットボール。内角よりやや中へ入ったのを見逃さずに強振すると、矢のような打球が一塁手ゴメスのミットをはじき、大田が一気に生還。これが決勝点となった。

 来日初安打&初打点が勝負を決する一打となり、お立ち台へ上がったフランシスコは、照れくさそうな表情で「素直にうれしい」。最高のスタートを切った助っ人に、原監督は「自分のスイングというか、強い姿に映った。ナイスバッティング」と賛辞を送った。

 たった1試合だけで評価はできないが、迫力不足に悩まされていた巨人にあって、フランシスコのフルスイングが放つオーラは想像以上に強烈。どデカい一発に飢えているG党は、巨漢助っ人の打席に今後注目だ。