ソフトバンクの工藤公康監督(51)が配球塾の開講に乗り出した。27日にはヤフオクドームで行われた投手練習に姿を現し、中田賢一投手(32)に直接指導した。

「打者それぞれの考えていることが分かれば、打ち取ることは簡単だよね。(細かい)コースで投げようとするんじゃなくて、左右に投げればいい打者もいれば、横の変化に弱い、もしくは縦の変化に弱い打者もいる。野球の技術だけではなく、相手を知ることも大事なんだ」と熱弁をふるった。

 工藤監督が説くのは、投手が知っておくべき自分なりの配球論だ。相手打者にどのような傾向があり、特に自分の投げる球種、コースにどのように反応しているのか。指揮官自身もFA権を行使して西武からダイエーに移籍を決めた1994年のオフ、自らが先発した試合のビデオを過去8年間にもわたって入手。その膨大な“資料”をもとに研究に取り組み、その後、若き城島健司を一流の捕手に育て上げたことにもつながった。

 また、投手は捕手に頼り切るばかりではなく、自分に対する相手打者の傾向を熟知する必要がある。場合によっては自信を持ってサインに首を振ればいいし、多少アバウトでもいい場面や、振ってこないケースも分かることで「投球も楽になる」というわけだ。

 配球塾はこの日の中田を皮切りに投手陣のみならず、若手捕手にも受講させる方針で、工藤監督は第2の城島育成にも着手する決意だ。「野球は考えながらやるスポーツ。考えた上でやったほうがいい」。実働29年間で通算224勝を挙げた頭脳派指揮官の手腕に注目だ。