中日・大野雄大投手(26)にチーム内で投手部門の4月の月間MVPを「何とか取ってほしい」との声が高まっている。27日現在、4試合に登板して2勝ながら、1完封を含む2完投と防御率0・56はリーグトップだ。

 しかし、最大のライバルとみられるのが、無傷のリーグ単独トップの4勝をマークしている巨人のルーキー・高木勇人(25)。中日の関係者は「正直、4勝している高木の方が限りなく有利だと思うけど、大野も4月のラスト登板の巨人戦(28日)で3勝目を完封するような抜群の投球を見せれば、可能性はゼロじゃない。頑張ってほしい」とハッパをかける。

 自身初の月間MVPを取り、先発の大黒柱としてチームをけん引してくれることを期待するが、理由はそれだけではない。落合GMへの今後の“風当たり”を弱めてほしいというものだ。高木勇は三重出身で、海星高から三菱重工名古屋に7年在籍した「指名待ち6度」の経歴の持ち主。中日にすれば、ずっとおひざ元にいた金の卵を巨人に発掘され、バツの悪い格好となっている。

 中日は昨年のドラフトで9人全員が大学、社会人という即戦力に絞って獲得しながら、ここまで誰も一軍で目立った活躍ができていない。そのため、チーム関係者は「このまま高木がMVPを取れば“落合GMは何をしているんだ”“もっと地元で眠っている選手の獲得に力を入れた方がいい”とかバッシングされかねない」と危惧しているからだ。当の大野は「月間MVP? 無理じゃないですか。今までと一緒で、できることをやっていこうと思う」と気にするそぶりはないが、周囲の大野への期待はヒートアップするばかりだ。