中日の吉見一起投手(30)が23日のヤクルト戦(ナゴヤドーム)に先発し、7回無失点で今季2勝目をマーク。開幕からの連続無失点を20回に伸ばした。「ゼロで抑えれば負けない。上位を倒そうという気持ちで投げた」。最速は142キロながら抜群の制球力でフォークとスライダーがキレまくり、毎回の9三振を奪ったが、この日の吉見の快投には巨人・菅野の影響もあった。

 菅野は前日22日の広島戦(宇都宮)で8回3安打無失点投球で3勝目を挙げたが、吉見はその試合をテレビ観戦。8回にアンダーソンの落球で無死三塁のピンチを背負いながら無失点で切り抜けたシーンに「スゲーな、こいつと思った」という。そして、この日のヤクルト戦でのマウンドで吉見は自分と菅野をダブらせていた。

 それは初回、先頭の山田に二塁打を許し、2番・上田の送りバントで一死三塁になった時のこと。「どう考えても点を取られる確率が高かったけど、ヤバイと思わないようにおまじないをかけて勘違いしようとしたら、昨日の菅野がパッと(頭の中に)出てきた。菅野はフォークを多投して抑えたけど、自分はスライダーなので菅野の投球とは違うけど、それを照らし合わせながら投げた」。結果、3番・川端をフォークで空振り三振、4番・雄平はスライダーで中飛に打ち取り、リズムをつかんだのだ。

「そんなことをマウンドで考えるのは余計なことかもしれないけど、気持ちが一杯一杯だったらそうは思わないし、そう思えるということは自分のほうが優位に立ててるなと考えて、俺もああやって抑えられたらいいなと思って投げた」と吉見。チームを首位のヤクルト、巨人とゲーム差なしの位置に導き、右腕は笑みを浮かべた。