巨人M5 阿部3冠王見えた24号

2012年09月17日 12時00分

ホームランの阿部を迎える原監督

 巨人の主砲が大偉業を完全に射程に捉える一発を放った。16日の阪神戦(東京ドーム)の3回、阿部が本塁打王争いトップに迫る24号ソロを放った。打率、打点部門は独走中で、捕手では1965年の野村克也(評論家)以来、史上2人目の3冠王へもう少し。勢いが止まらない4番のバットでチームは4—2と勝利し、優勝マジックは「5」。最短Vは19日の中日戦(ナゴヤドーム)だ——。

 今季を象徴する流れるような攻撃で、初回からあっさり主導権を握った。一死から藤村、坂本の連打で一、三塁の好機を作ると、先制点を叩き出したのは阿部だ。「追い込まれていたので、気持ちだけで打ったよ」と右翼線を破る二塁打で藤村をホームに迎え入れた。

 村田の2点適時打も飛び出して初回に3点を奪うと、若い秋山にとどめを刺したのは、またも阿部の一撃だった。3回、初球スライダーを豪快に一閃。打球は右翼スタンド中段に突き刺さる24号ソロとなった。

 原監督をして「神の領域」と言わしめる至高の打撃技術を持つ男。さらに「直球をイメージしてスライダーに反応できた」とあっさり言ってのける状態の良さがあるとなると、対戦投手はもう投げる場所がないはずだ。

 故障している左足の状態はいまだに万全ではない。だが一塁で出場したこの日も、4打数3安打2打点で、打率を3割2分7厘まで引き上げた。優勝目前の緊張感も百戦錬磨の主将にとっては心地よいものでしかないのか。最近5試合で、19打数10安打5割2分6厘と猛爆発している。

 実は終盤になって、阿部はほぼ毎試合、試合前に独自のフォーム矯正練習を続けて行っている。バント練習用の投球マシンを相手に、わざと左翼方向への“ファウル打ち”を繰り返すのだ。通常は体の開きを修正するため不調時にのみ行うのだが、捕手での出場が減って生まれた余裕時間を持て余すことなく、打撃の調整に費やしている。

 そんな主砲に原監督は「中盤から終盤へかけ、また1ランクも2ランクも上がったのではないか。同じ野球人として尊敬する気持ちで見ている」と畏敬の念を向ける。

 本塁打王争いトップのヤクルト・バレンティンを猛烈に追い上げている。一度は「諦めた」と話していた3冠王への望みは十分ある。阿部は「ペナントレースの優勝が第一。(3冠王は)それをクリアしてから意識したい」と浮かれることなく話したが、ここまでくればG党ならずとも、偉業達成の瞬間を期待せずにはいられない。