2試合連続サヨナラ負けとドン底ムードだった阪神が16日の中日戦(ナゴヤドーム)を6―4で勝利し、息を吹き返した。虎移籍後初の2番に座った西岡剛内野手(30)が6回に決勝打。3番から1番、そして不慣れな2番と再三変わる打順にも一切不平は言わず「チームのためにやるだけ」を連呼する男に、開幕前まで辛口だった虎OBも前言撤回の動きが…。
慢性的な貧打に悩まされてきた和田監督はこの日、3連敗阻止のため、新たに1番上本、2番西岡の打線改造に着手。それが的中し、4月に入って初めて1回に得点した。上本が安打で口火を切ると、西岡も安打、鳥谷が四球でつないで無死満塁。そこからゴメス、マートン、福留が3連続適時打を放つなど、ことごとく勝負強さを発揮して一気に4点を先行した。
そのまま快勝かと思われたが、先発の岩崎が乱調で同点に…。中日には2試合連続サヨナラ負けを喫しているとあってベンチは“3夜連続の悪夢”も予測したが、6回二死二塁で西岡が右前勝ち越し打を放ち、崖っ縁だったチームに勝利を呼び込んだ。
「勝ちたいという一心だった。チームのために何とかしたいと思った。2番ならその仕事をするだけ。監督は攻撃的な2番を求めていたと思う。チームの方針に従ってやるだけです」。2005年のロッテ時代以来、実に10年ぶりとなる2番に一切、不平も言わず結果で応えてみせた西岡の株もここへきて急上昇だ。
開幕前まで「和田監督は西岡を甘やかすな」「西岡は信用できない」などと酷評しまくった虎のOBも揃って「再評価」しだした。監督経験者の大物OBが「西岡だけがここまで好不調の波もなく、しっかりやれている。やっぱり底力はある選手だということ。不慣れだった三塁の守備も、もともと器用だから今は心配しないで見られる。慣れてきたんでしょう。よくやってくれてます」と言えば、別のOBも「去年までは“練習はしたくないけど、試合には出してくれ”みたいなところがあったから何だあいつは…となっていたけど、静まり返ったベンチでもよく声を張り上げて若手にもゲキを飛ばしている。見直したという声は多い」
1月に阪神OBが集う「天地会」で1985年日本一監督の吉田義男氏が西岡について「和田監督は(西岡を)過保護にしたらダメ。もう一度、挑戦させないと…。しっかりノルマをかけて突き放してほしい」と厳しく糾弾したが、球団関係者によると「その吉田さんも今では『西岡はよくやってくれてますで。三塁守備も安心して見てます』と語っていた」というから、西岡にとってもうれしいニュースに違いない。チームはまだ借金生活だが、何だかんだいってもこの男が引っ張っていってくれそうだ。
辛口の阪神OBが西岡再評価の動き
コメント