花巻東・大谷「ド軍入り」急浮上のウラ

2012年09月19日 12時00分

 今秋ドラフトの目玉、花巻東・大谷翔平投手(18)が19日にプロ志望届を提出することになった。進路が国内かメジャーに絞られたなかで注目を集めているのがドジャースだ。先日、韓国で行われた18U世界選手権には日本だけでなくメジャー各球団のスカウトもネット裏に集結。中でも獲得に力が入っているのがド軍で、大会直前にスカウト部門のトップが花巻東・佐々木洋監督(37)と極秘接触したという情報も飛び交っている。なぜ大谷サイドとド軍が急接近しているのか――。その裏側に迫った。

 高校生最速の160キロ右腕・大谷の評価は極めて高い。国内の各球団スカウトは「ドラフトで間違いなく1巡目で消える投手」と口を揃えて絶賛。18U世界選手権では多くのメジャー球団のスカウト陣からも徹底マークされていたが、大谷の周辺では「メジャー入りを決意するならばドジャース」と言われ、“既定路線”になっているという。

 最大の要因は、同球団・小島圭市極東担当スカウトの存在だ。同スカウトは現西武の菊池雄星を花巻東在籍時代の3年間にわたって密着マーク。結果として獲得には結びつかなかったものの公式戦はもとより練習試合にも足を運び、ただ黙々と菊池の元に出向いてひたすら誠意を示し続けた。

 小島スカウトはこの時と同じ手法を駆使し、菊池と入れ替わりで同校に入学した大谷に再び3年間密着。花巻東に近い関係者は「国内のどの球団よりも(大谷獲得に)誠意を示してきたのはドジャース。雄星の時にその恩に報いられなかったことを佐々木監督がどう考えているのか。そこが大谷の進路を決める上で一つのキーポイント」と打ち明ける。

 そこには「小島スカウトなりの戦略がある」と同関係者は証言し、こう続けた。

「6年間、花巻東に通い続けている小島さんは誰よりも佐々木監督の性格を知っているから絶対にコソコソと裏では動かない。ただ近くで誠意を伝える方法でしか(獲得する)可能性がないことを分かっていると思います」

 以前、菊池のプロ入り時に国内スポーツメーカーがライバル社を出し抜こうと佐々木監督を飛び越えて両親の囲い込みに走ったことがあった。しかし結局それが同監督の知るところとなり、その業者は排除。

「出入り禁止」になった一件を小島スカウトも当然知っており、それを踏まえた上でひたすら誠意を見せ続けている。精神的にもろいとされる大谷には「日本のプロ野球で1~2年じっくり育てれば大きな可能性を秘めている」と先輩・菊池と同様、まずは日本のプロ野球入りを勧める声は確かに多い。ところが「即メジャーへ行くべき」とアドバイスする声も周囲にはある。

 別の岩手県野球関係者は次のように語る。

「雄星もそうだったが、花巻東の野球は佐々木監督が絶対的存在の管理野球の側面がある。雄星の開花が遅れたのも監督がオーバースローにこだわりすぎて、もともとのスリークオーターのフォームが分からなくなってしまった指導の部分が多分にあった。プロに行ってからも監督の影響力は強いので、距離が近い国内球団よりも米国に行って一度解放されたほうがいいかもしれない」

 現時点ではメジャー側も「大谷はかなりの確率で日本の球団に入団するだろう。どの球団も国際部に回ってくる予算が少なく日本の球団のような契約金は払えない。30万~50万ドル(約2370万~3950万円)がいいところ」と劣勢を認めている。

 とはいえ、前出の花巻東に近い関係者が「佐々木監督はドジャースの小島がいる限り、メジャーをむげに排除したりはしない」というように最終決断の行方は菊池同様に日米の獲得希望球団との「面談」で決まることが予想される。果たして160キロ右腕は海を渡るのか。いずれにせよ、日米間で大争奪戦が勃発することは必至だ。