泥沼にはまりつつある巨人が緊急補強に動いた。貧打解消を狙う球団はファン・フランシスコ内野手(27=前レイズ)の獲得調査に乗り出している。メジャー48発の左の大砲の加入により、チーム内では今後、生き残りをかけた競争が激化することは確実。押し出されることになるのは誰なのか――。

 フランシスコについて、球団幹部は「調査中」と話すにとどめたが、原監督はすでにプレー映像をチェックしており、交渉が今後順調に進めば、今月中旬にも契約、来日できる見通しだという。

 原監督は以前から「本塁打を期待できる左の大砲」を熱望していたが、今季は“キューバの至宝”セペダが開幕からいまだ無安打の大ブレーキ。右ヒジ手術明けのアンダーソンの合流が遅れていることも、緊急補強に動いた大きな理由とみられる。

 新戦力が加われば、当然押し出される者もいる。一軍の外国人4枠はすでに埋まっているため、フランシスコが加われば、まずは不振のセペダが二軍降格の最有力候補になるのは間違いない。

 さらにもう1人、影響を受けそうなのが村田だ。開幕前からの不振を引きずり、現在は8番まで打順が降格。「フランシスコの守備がどの程度のレベルかによる」(球団関係者)が、メジャーで守っていた三塁守備がゴーサインとなると、立場は一気に苦しくなる。

「村田が4番を打つのが理想」としていた原監督が今回の補強を了承したのは、我慢の限界が近付いている証拠。スランプを脱出できなければ、今後は守備要員としてベンチを温めるか、二軍再調整の可能性もある。

 二軍調整中のアンダーソンの合流準備が整えば、生存競争はさらに熱くなる。手術明けということもあり、当面は一塁での起用となりそうで、そうなると、一塁手でスタートした阿部は、捕手一本で勝負せざるを得なくなる。現在一塁を守る井端が行き場を失うことも想定される。マイコラス、ポレダ、マシソンら投手を含めた外国人選手の一軍枠争いもシ烈になる。

 開幕ダッシュ失敗で、ただでさえ暗い顔が目立つ巨人。チーム内には殺伐とした空気が漂い始めている。