巨人にも“キューバ危機”が降りかかるのか。Y・グリエルの契約解除問題は、決して対岸の火事ではなかった。Y・グリエルは、オフにDeNAと争奪戦を繰り広げた選手。「契約解除」となったことで、ルール上は再び獲得に乗り出すことも可能となった。だが「何らかの特例によって、今年中にもMLB球団でプレーすることになるのではないか」とみている巨人にその気はなく、むしろ現在はチーム内で“第2のグリエル騒動”が起きることを危惧している。キューバ国内リーグ所属選手の日本球界移籍が解禁となった昨年、巨人はフレデリク・セペダ外野手(34)と、エクトル・メンドーサ投手(21)を同国から獲得。両選手はオフに契約を延長し、セペダはすでに来日して一軍に名を連ねている。

 問題なのは、メンドーサの方だ。いまだ国内リーグに参戦中で、最大であと7試合残している。終了次第、来日する予定になってはいるが、今回の“グリエル騒動”を受け「本当に来てくれるだろうか」との疑念が生じている。

 昨季巨人では一軍登板なしに終わったメンドーサだが、2月に開かれたカリビアン・シリーズでは母国代表のクローザーとして55年ぶりの優勝に貢献。大会の最優秀救援投手に選出されるまでに成長した。中南米の野球事情に詳しい関係者によれば「すでにメジャー数球団が高い関心を示している」という。

 今回予定通りにメンドーサが来日しても、夏場にはセペダとともに再びキューバ代表として招集される見通し。来季の契約となれば、さらに不透明だ。「グリエル問題の裏に、キューバと米国の関係改善の動きがあるのは間違いない。契約を守らないとなると、キューバからの選手獲得方針を見直さざるを得ない」と巨人サイドは“警戒”を強くしている。