35年ぶりに開幕3連敗を喫した中日。29日の阪神戦(京セラ)で送球を右手に受け、負傷交代した中日・森野将彦内野手(36)は右手親指の末節骨骨折と診断された。昨季、チーム最多の86打点を稼いだポイントゲッターがいなくなる緊急事態に谷繁元信監督兼捕手(44)は「こうなってしまったら、しょうがない。治すことに全力を尽くしてもらって早く復帰してほしい」と気丈に話したが、内心は大ショックに違いない。

 しかし、チーム内ではそんなアクシデントにあえてプラス思考でいる。「森野のケガは痛いけど逆に良かった部分もある」とチーム関係者。それは、森野の離脱で福田永将内野手(26)をスタメンで起用できるようになるからだという。

 福田はオープン戦17試合に出場して29打数14安打、打率4割8分3厘、4本塁打、13打点と打撃3部門はいずれもチームトップと打ちまくった。しかし、守るところがファーストのみ。スタメンで使うためには、森野かルナを外さなければならず、使いたくても使えなかった。それが森野の離脱によって変わった。

 レギュラー選手のアクシデントで、若手選手がブレークするケースは多い。巨人の坂本は2008年、当時ショートのレギュラーだった二岡が開幕戦で右ふくらはぎを肉離れし、離脱したのがきっかけでチャンスをつかんだ。「森野の骨折であの福田が出てきた」と言われるようになる可能性もあるというわけ。

 果たして、ケガの功名となるか。福田のバットが答えを出す。