今季背水イヤーの阪神・和田豊監督(52)が開幕前日の26日「準備は整った。今年は勝ち抜いていく!」と10年ぶりのV奪回と日本一達成を誓った。指揮官が準備したのは優勝候補と評された戦力だけではない。実はナインを鼓舞するために「監督賞」の“乱発”を決めているのだ。

 開幕・中日戦を翌日に控えた和田監督は「やるべきことはやった。心境的には落ち着いている。若い選手もめどが立った。日進月歩。いろんな壁があるだろうが、乗り越えて、試合をするたびに強くなっていきたい。10年ぶりの優勝を決め、CSを勝ち抜いて日本シリーズで勝負したい」と1985年以来の頂点取りを宣言した。

 今年の阪神は評論家から、元監督の楽天・星野シニア・アドバイザーまでが「今年勝たないといつ勝つのか」と絶賛するほどV候補の筆頭。マートン、ゴメスら昨年のタイトルホルダーが4人、石崎ら新人も加わった投手陣も豊富とあれば当然だが、指揮官が準備したのは戦力だけではない。それはポケットマネーでの「監督賞」。和田監督は「『監督賞』は試合で頑張ってくれた選手に出してきた。今年もそれは変わらないけど、やってくれるなら乱発して出してもいい。というか乱発したい。乱発させろだよ」と本紙に明かしたのだ。

 監督賞とは試合で活躍した選手に手渡す特別の報奨金。阪神では金額はピンからキリまであり、基本的に1試合で最大100万円。対象者が1人の場合もあれば、何人かで山分けするなどケースは多様で、宿敵・巨人戦やシーズン終盤の勝負がかかった試合は、その金額も上がるとされている。逆に誰もいい仕事をしなかった場合は当然なしだ。

 ある球団関係者は「監督はそれを“乱発”という形で話したということは、どっちにしろ、出す頻度が増えるということ。まだ詳細はわからないが、例えば試合を決めた選手にドンドン出すだけでなく、小さな貢献でも出すということかも…。監督の今年にかける思いが表れているのでは」と分析する。実際、和田監督は25日の選手会による決起集会にも「これで楽しんでくれ」と30万円の食事代をはずんだばかり。もちろん、監督賞が“乱発”されれば、特に若手はうれしい限りだろう。開幕スタメンマスクをかぶる2年目の梅野も「監督賞? 試合に勝つことが一番ですけど、出していただけるなら光栄ですよ」と喜んでいる。

 今季は背水イヤーの和田監督。「不退転の決意を持って臨む」としている中、ナインに向けて、どれだけの“実弾”が指揮官の懐から飛び出すか。こちらも注目だ。