V奪回を目指す阪神・和田豊監督(52)に対して虎OBから手厳しい声が出ている。物議を醸しているのは、今オープン戦で結果が出ていない西岡剛内野手(30)の起用法。指揮官が「3番三塁」で使っていることに「(西岡が)三塁(レギュラー)で決まったかのような扱いはダメ。もっと競争させるべき」との指摘が噴出しているのだ。

 上本との二塁手レギュラーバトルから一転、三塁手で再起を目指している西岡。「三塁には他にもいい選手はいる。競争していきたい」と言い、オープン戦に挑んでいるが、結果はもうひとつだ。10日の広島戦(甲子園)は1打席目が空振り三振で、2打席目はピッチャーへのボテボテの内野安打。この日は寒さもあって、そこで交代となったが、ここまで「3番三塁」で計5試合に出場して、13打数2安打の打率1割5分4厘で、打点は2。出塁率5割を誇る鳥谷、上本の好調1、2番コンビの足を引っ張り、課題の三塁守備でも何度かミスを犯すなど精彩を欠いている。

 それでも和田監督は「まだ本来のいい状態ではない。技術に関しては十分の選手。打席をこなしていけば大丈夫」と攻守にわたって西岡への信頼を強調する。西岡にしてみれば、不慣れな三塁守備でリズムを崩している部分もあるのだろう。今キャンプでは若手に交じって懸命に練習したことでその疲れが出始めているとの見方もあるが、虎OBの西岡評はシビアだった。「打てないとなると、西岡の三塁はやっぱりきつい。キャンプ最終日に今年初めて三塁の練習をしていたが、やっぱり、もっと早い段階から練習させておくべきだったし、故障で別調整ながら今成の方が(三塁では)攻守に一つ頭が抜けている。相手球団も今成や一発がある新井の方を警戒するよ」

 それだけではない。虎OBは不満の矛先を和田監督の方針にも向けた。監督経験のある虎OBの一人は「三塁の経験がある掛布DC(GM付育成&打撃コーディネーター)が『(西岡は)打球への反応が遅い。試合だけでなく、もっと練習をさせていかないと心配だ』と言っていたし、開幕のオーダーも『3番は西岡ではなく鳥谷だ』と断言していたよ。西岡については監督なりの考えもあるのだろうが、大事なのは今日みたいに寒いからといって早々と2打席で交代させるのではなく、もっとやらせないといけない。まだ30歳だろ。全試合に出る鳥谷とは立場も違うし、ベテランでもない。西岡も西岡でもっと出してくれ、と言うくらいじゃないといけない。それに西岡が三塁(レギュラーで)決まったかのような扱いはダメ。もっと競争させないと(三塁を争うライバルの)新井も内心、面白くないはずだ」と声を大にした。

 西岡は「結果を見てほしい」と再三アピールしているし、和田監督も二塁にこだわっていた西岡を翻意させたことへの負い目などは全くなく「今年の剛は気持ちが違う」と期待しているだけだが、虎OBには、どうにも西岡を特別扱いしているように見えるらしい。他球団スコアラーから「西岡を三塁で使ってくれるとこっちはありがたい。弱点ができる」との声が出ていることも気にしており、なおさら、もっと西岡を三塁で競争させるべき、と訴えているわけ。開幕まで3週間を切った今、虎OBたちはV奪回のキーマンでもある西岡の処遇に目を光らせている。