日本ハム・大谷翔平投手(20)不在の侍ジャパンが、阪神・藤浪晋太郎(20)頼みの現状をまざまざと見せつけた。「侍ジャパン対欧州代表戦第1戦」(10日、東京ドーム)の先発は広島・大瀬良、2番手を西武・牧田が務め、藤浪は3番手で登場。その理由を「7時から地上波放送が始まるためです」と侍関係者が明かした。

 試合は午後6時開始で、TBS系列では午後7時に地上波中継がスタートした。先発が藤浪の場合、登板予定の2イニングでは放送前にマウンドを降りてしまう。昨年11月の日米野球は侍フルメンバーにもかかわらず、最高視聴率が第3戦(11月15日)の9.0%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)と低迷。言わば大瀬良、牧田を“当て馬”にして藤浪で視聴者を引き付ける狙いだった。

 その藤浪は午後7時41分に6回から登板。2安打と死球で二死満塁のピンチを招いたが、三振で切り抜けた。7回は3人でピシャリ。最速156キロの直球とスライダーで欧州代表を無失点とし「あまりいい内容ではないけど何とかゼロに抑えられた」と、ホッとした表情だった。

 今回は相手が無名軍団の欧州代表とあって、観衆は2万1267人で空席が目立った。中継も2戦目(11日)はBSのみで「裏のフジテレビ系列で午後7時からサッカーU―22代表の日本対ミャンマー戦の中継がある。20年東京五輪もあるし、3月27日から始まる16年リオ五輪予選前に水を差せない」と、NPB関係者は苦しい事情を明かした。

 NPB幹部は「侍ジャパンの価値が今はそのぐらいだということ。人気を上げるには大谷だけではなく、それに続く若いスターを作らないと。その筆頭候補が藤浪。将来的には松井裕樹(楽天)にも頑張ってほしい」。今秋には新たな国際大会「プレミア12」(日台共催)も控えている。この日は日本が4―3で辛くも逆転勝ちを収めたが、格下に苦しんでいるようでは人気爆発にはつながりそうもない。