<ロッテ7-5DeNA(5日)>DeNAの4番キャプテン筒香嘉智外野手(23)に主砲の風格が漂ってきた。

 5日のロッテ戦(横浜スタジアム)で2点を追う5回、筒香は西野の初球の直球をフルスイング。白球はファンで埋まった右翼スタンドに飛び込んだ。今季オープン戦第1号となる2ランで同点に追いついたが、初球を見逃さない積極的な打撃にチーム関係者は「筒香は変わった」と驚きの声を上げた。

 筒香は2009年、横浜高から通算69本塁打の鳴り物入りでドラ1入団。ファンの期待は大きく、筒香が打席に入った際は「横浜の空高く、ホームランかっ飛ばせ、ツ~ツ~ゴ~」とファンファーレとともに叫ぶ。OBで現楽天の田代富雄打撃コーチの応援を継承したもので約20秒間かかる。ほとんどの投手はその間に初球を投げ、筒香は見送るケースが多かった。

 もちろん待ち球ではなく難しいボールだった場合もあるが、応援コールがまだ続いていることも初球を見逃す理由になっていた。チーム関係者は「これまで筒香は自分を応援してくれるファンに気を使っている部分があった。他球団からも『筒香はあまり初球を打たないね』と指摘されていた」と明かした。

 だが今季、筒香は4番とキャプテンを任され、キャンプでは松井秀喜氏から「4番道」を教わった。そこで筒香は「自分が打つことがファンの最大の喜びになると気づいた」(同関係者)と、主砲の役目を理解したという。

 筒香は初球打ちに関し「体が反応した」と無意識と説明したが、4日の西武戦でもエース岸の初球を中前打としており、バッティングが変わってきていることは明白。侍ジャパンの欧州代表戦(10、11日=東京ドーム)では5番を務める予定で、中畑監督も「日の丸を背負う自覚が出ている」と筒香の成長に目を細めている。