<巨人5-4日本ハム(3日)>開幕投手に指名されている日本ハム・大谷翔平(20)が、約3週間後の本番に不安を残す大乱調を演じた。

 3日、巨人とのオープン戦(札幌ドーム)で本拠地初登板。直球をはじめ、ほぼ全球種の制球が定まらず4回4安打4失点、奪った三振2に対し、与四球6という独り相撲を演じた。打者21人に投げた81球のうち、ストライクはわずか53%の43球。投手として飛躍的な成長を遂げた昨年の要因が制球力の向上にあっただけに、この日の制球難の原因が気になるところだ。

 昨年10月以来の札幌ドームのマウンドや、投球練習中に負傷した右手薬指の影響もありながら、大谷は「自分がこう投げたいと思うような形で投げることができなかった。限られた球数で長いイニングを投げられるのがベストだと思いますし、とにかくマウンドで修正できなかったことが反省点」と乱調を冷静に分析。降板後に厚沢投手コーチから指摘された次回11日のDeNA戦(鎌ケ谷)への修正ポイントについて「フォームが投げ急いでいたというところ。走者を置いてワンテンポ置くというのは必要なことかな」と振り返った。

 今キャンプで取り組んだ課題の一つに、クイックモーションの向上があった。キャンプ終盤では課題を克服し、大谷のクイックは合格ラインの1・12秒から1・13秒をコンスタントに記録。しかし、この日の実戦ではマウンドへの適応、薬指の裂傷に対応しながら課題を意識してしまったため、フォームのバランスを崩してしまったようだ。

 開幕戦の相手、楽天・大久保監督は「どんどん初球から振って、足でも揺さぶる」と、昨年5度企画して4度成功している大谷からの盗塁を根拠に「超機動力野球」の陽動作戦を仕掛けているが…。走者を意識し過ぎると、この日のような「自滅」が待っているということか。