高橋由伸「兼任コーチ」揺れる思いを激白

2015年03月01日 09時00分

穏やかな表情でキャップを振り返る高橋由
穏やかな表情でキャップを振り返る高橋由

 巨人・高橋由伸外野手兼打撃コーチ(39)は指導者1年目のキャンプをどう過ごしたのか。「あっという間だった」という約1か月間は、選手として例年のように調整に励む一方、コーチとしては手探りの毎日だったという。本紙は初の“二刀流キャンプ”を終えた生え抜きのベテランを直撃。選手と指導者の狭間で揺れる胸の内をヨシノブが赤裸々に語った――。

 ――まずは現役選手として、今年のキャンプを振り返ってほしい

 高橋由:これまでで一番あっという間だったかもしれないですね。あっという間に1か月弱過ぎちゃったなと。

 ――立場が変わったからか

 高橋由:そうなのか、自分じゃわからないんだけど、本当にあっという間だったなあ。

 ――昨年は代打中心の出場だった。選手として今季の目標は?

 高橋由:去年と変わりないですよ。開幕まではレギュラーを目指して過ごしているし、そこからは僕らがどうこうできる部分じゃないから。

 ――今年4月で40歳を迎えるが、腰の手術以降は年々元気になっている印象を受ける

 高橋由:腰だけでいえば、不安は毎年ちょっとずつ減っていますよね。元には戻っていないけど、年々悪くなっている感じもしないし。(体は)ちょっとした衰えは感じないわけじゃないですけど、ただ40歳になったからって38、39歳の時と何か変わるかと言ったら、そんな差は感じないしね。

 ――最優先は選手として野球を続けること

 高橋由:まずはそこだと思っています。

 ――一方で兼任コーチを引き受けた。打診された際の率直な心境は?

 高橋由:これまでは(現役を)辞めるか、辞めないのかという選択でやってきたのでね。(兼任コーチという選択肢は)まったく頭になかったわけじゃないんですが、一番自分の中では可能性の低い部分だったので迷いもありました。引き受けなければ特に変わらなかったんでしょうけど、また違った気持ちで野球に取り組めるかもしれないしな、と。先の見えない不安の方が大きかったですが、前向きに、気持ちを新たにさせる部分で(引き受けた)。

 ――兼任コーチは他球団でも近年増えている。就任するにあたって誰かに相談したのか

 高橋由:いやあ、相談すれば良かったんですが、しなかったんですよ。キャンプに入る前にすれば良かったなと思うんですけどね。ただ、それぞれ立場や環境が違うし、変な知識が入っても嫌だなと思って迷ったんです。聞いてそれが(指導者としての)基本になったら、それは自分じゃないしなって。聞けば良かったかなというのもあったんですけど手探りですね。

 ――理想のコーチ像はあるのか?

 高橋由:誰というのは具体的に言えないけど、選手の思っていることや感覚に、より近いところにいて、それを感じてあげるコーチじゃないですかね。(選手と)より近い、同じ感性を持てるかだと思うんですよね。

 ――今キャンプでも教えるというより、話を聞く場面が多く見られた

 高橋由:まずは本人がこうしたい、ああしたいと思っていることを知ることからね。僕もそうだけど、個々の理想であったり「俺はこういうふうに打ちたい」とか考えがあると思うので。それを近くで感じて、本人にとってより良いアドバイスをしてあげられたらいいなと思っています。一方では僕も選手としてやっているから「俺はこう考えてやっているよ」とかも伝えていけたら。

 ――コーチ業に、やりがいや難しさは感じるか

 高橋由:難しさはありますね。自分のこともあるから、ずっと選手を見てあげられるわけじゃないので不安ですよ。申し訳ないといったらあれですが、まだ自信を持って(指導する)というまでにはできていないかもしれないです。

 ――選手とコーチ業、簡単には切り替えられないものということか

 高橋由:正直な話ね。

 ――原監督は“コーチの先”も見て打診したはず。白石オーナーも後継者候補に挙げている

 高橋由:正直まったく考えていないわけじゃないけど、まだそこまで先はね。今は(コーチ業は)自分のためだと思ってやっていますから。自分の勉強のためだと。後にそうなる(監督になる)ためではなく、プレーヤーである自分にとっての経験というかね。

 ――同じく監督候補に挙がる先輩の松井秀喜氏が、今年も宮崎キャンプを訪問した

 高橋由:松井さんが来たときは偶然、僕がコーチの仕事をしているときで、横で笑っていましたけどね。

 ――昨年は松井氏から「できるだけ長く現役を続けろよ」と声をかけられたと聞いたが

 高橋由:松井さんには今年もやっぱり「プレーヤーなんだから」ということは言われましたよ。僕も当然そう思っているし、よりその思いは強くなりました。

 ――「兼任コーチ」というと、大選手が晩年にやるというイメージが付きまとう

 高橋由:それは別に、とっくに晩年と言われているわけでね(笑い)。全員が「一年でも長く頑張れ」と思ってくれているわけではないのもわかっているし。ただ今まで頑張ってこなければ兼任コーチというポジションなんてできないと思うし、そこは自分ではプラスに捉えています。この年齢になったから、こういう役割をやらせてもらえたんだって。晩年を迎えたから兼任コーチになっちゃった…じゃなくてね。

 ――できるだけ現役を長く続けてもらいたいと思っているファンも大勢いる

 高橋由:僕だっていつまでもプレーヤーでいたいというのは思っています。その気持ちはまったく萎えていないので、気持ちがある限りは一生懸命練習して、プレーヤーとして一日でも長くやりたいなと思っています。