巨人・原監督が今年初めての“劇薬治療”に乗り出した。24日、韓国SKとの練習試合(那覇)で、4年目左腕・今村に試合途中で異例の「ノーサイン投球」を命じた。

 3番手で登板した今村は捕手・鬼屋敷となかなか息が合わず、1イニング目に4安打2四球で4点を失った。原監督は修正点を話し合っていた今村と鬼屋敷に歩み寄り「次の回はノーサインで投げてみろ」と通達した。

 プロの世界で投手がノーサインで投げる機会はほぼない。秦バッテリーコーチが「捕手にとっては簡単なことじゃない」と語ったように、捕手は後逸やケガの危険を伴う。それほどリスクのある指令を、指揮官は経験の浅い若いバッテリーにあえて命じた。原監督は「(今村は)体も頭も動かさないといけない。どうしても人任せなところがあるから。全部捕手に任せて『次はなんでしょうか?』ではね。これは宮国もそうだが、自分の意思を伝えようとしないと」と“鬼指令”の意図を説明した。

 交流戦が18試合になった今季はローテ6人制が濃厚。今村と宮国は小山や新外国人コンビと先発5、6番手を狙う位置にいるが、まだまだアピール不足だ。秦コーチも「今までは慎之助(阿部)に任せて投げていれば良かったかもしれないが、今年からはそうはいかない。首を振ってでも『この球が投げたい』と捕手に伝える意思の強さが必要」と話す。ノーサインは今村に自立を促すための特訓だったのだ。

 結果的に今村は次の回を1安打1四球無失点で切り抜けた。今村は「鬼屋敷には申し訳なかったですが、すごい勉強になりました」と手応えをつかんだ様子。“劇薬効果”でひと皮むけるか注目だ。