巨人投手陣に死角はあるのか――。昨季リーグトップの防御率(3・58)を誇った投手陣に、今季は新たに2人の外国人投手が加入。生きのいいルーキーたちも話題を呼んでいる。そんな活気に満ちたブルペンを、昨季まで4シーズン率いた川口和久前投手総合コーチ(55)が総点検。同氏の目にG投の現状はどう映ったのか。

 在籍4年間でリーグ優勝3回、日本一1回という実績を残した川口氏は昨季限りでユニホームを脱ぎ、今季からは球団の編成業務に就いている。戦いの最前線からは身を引いたが、鋭い観察眼は健在。宮崎、沖縄キャンプを精力的に視察した同氏に感想を聞いた。

 ――投手陣全体の印象は

 川口氏:いいんじゃないかな。ほぼ仕上がっている選手が多いね。

 ――新外国人投手がオープン戦デビューした

 川口氏:試合を見た限り、マイコラスはいい。左足を踏み出してから、間を置いて右手が出てくる。打者はタイミングが取りづらいはずだ。ポレダはグラブの使い方が下手だね。クイックとか細かいポイントを修正しないと足で崩されるよ。でも球は速いし、リリーフでハマりそうだ。山口が出遅れているけど、代役を任せても面白いね。

 ――戸根(日大)、高木勇(三菱重工名古屋)の新人コンビの評判が上々だ。使いどころは

 川口氏:2人ともなによりテンポが素晴らしいよね。監督好みでもあるから、開幕一軍でスタートするでしょう。高木勇はストライクも取れるし、球種も豊富そうだから、先発、中継ぎ、抑えどこで使っても楽しみな投手だね。戸根はリリーフだろうけど、楽天戦でも左打者の内角へズバッと投げ切れていた。あの球をシーズンでも投げられるなら、一軍で十分メシを食っていけるよ。

 ――ローテ候補の投手たちはどうでしょう

 川口氏:内海、杉内、菅野、大竹…このクラスは調整方法をわかっているから問題ない。交流戦が減った関係で、今年は6人ローテでいくでしょう。残り2枠の争いが面白いね。小山、今村、宮国と外国人2人か。ブルペンで見た限り、今村はリリースが良くなっていたね。

 ――投手陣の目玉は澤村の新守護神構想だ

 川口氏:正直、不安はあるよ。先発とリリーフでは肩の作り方が違うからね。宮崎ではコーチを通じて「毎日30球でいいから投げ続けるように」と本人に伝えてもらったんだけど。でも肩が1年持っても、それだけで抑えは務まらないからね。

 ――どういうことでしょう

 川口氏:“ふるまい”の問題だよ。抑えに成功しているときはいいが、先発の勝ち星を消してしまったときが大事。自分がメンタル的に苦しいのはもちろん、そういうときの言葉や態度をチームメートも結構見ているものなんだ。彼は誤解されやすいからね。仮に間違った姿を見せるようだと、チーム全体に不協和音が響きかねない。そこは肝に銘じてやってほしい。

 ――最後に、今季の巨人が戦う上で重要なポイントは

 川口氏:野球はやっぱり投手のデキ次第。とはいっても、今年は阿部という大黒柱が抜けたわけだからね。捕手の使い方、投手との相性の見極めも重要になってくる。試合の中での交代を柔軟にするために、捕手は3人制にするべきだと僕は思う。その上で小林、相川、加藤、実松。この4人をベンチがどうやりくりして乗り切るかがポイントになるでしょう。