【宇野勝の大予言 今年ブレークするのは…(日本ハムの巻)】

 日本ハムの名護キャンプで、特に光って見えたのは近藤健介捕手(21)だ。

 昨季は捕手兼内野手として89試合に出場して打率2割5分8厘、4本塁打、28打点とまずまずの成績。三塁手としてスタメン出場も多かった彼を“原石”と呼ぶのは少々語弊があるかもしれないが、あえて私は彼を推したい。今季は打率3割を達成し、大ブレークの年となると見た。その根拠は他の打者とは明らかに違う打撃にある。

 最近の若い選手はバットがボールに対して最短距離に出てこない傾向が強い。ヘッドが下がって遠回りしてくる選手が非常に多い。右打者ならば右肩が出てしまうのを嫌がるあまりそうしたスイングになってしまうのだろう。イチローの影響も強いのだろうか。彼はウエーティングサークルでの素振りでバットのヘッドを下げて振る。それを若い選手たちは映像で見て、まねしているのかもしれない。

 しかし、バットというものは立った状態でボールに対して一直線に振らなきゃ勝負にならない。イチローだって実際に打席ではちゃんとバットは立っている。それが寝て遠回りをしてしまったら100キロのボールは打てるが、力のある真っすぐをはじき返すことなどできない。バッティングは時間との勝負。バットの芯で力強いボールを打つためにはマウンドからミットまでの0・4秒の間にバットをいかに最短距離で出すかが大事だ。近藤の場合はそれが完璧にできている。

 しかも下半身とも見事に連動している。バットに力を伝えるためには上半身だけじゃダメ。下半身を使って初めて力が伝わるのだが、これが実はとても難しい。近藤はその力の伝わり方が実に良い。

 柏原打撃コーチによれば、今季は新外国人のレアードを三塁に起用する方針だというが、近藤をベンチで放っておくことなどできないはずだ。  (本紙評論家)

 ☆こんどう・けんすけ 1993年8月9日、千葉市出身。横浜高では3年時に春夏連続甲子園出場。強肩強打の捕手としてAAAアジア野球選手権大会日本代表にも選出された。高校通算35本塁打。2011年のドラフト会議で日本ハムに4位指名され、入団。1年目から一軍出場を果たした。3年目の14年は開幕一軍メンバー入りし、捕手兼内野手として89試合に出場。173センチ、85キロ。右投げ左打ち。