大下剛史氏「気になる工藤監督と佐藤コーチの力関係」

2015年02月18日 11時00分

工藤監督(左)は大下氏の訪問を緊張気味な笑顔で迎えた

【大下剛史 キャンプ点検(ソフトバンク編)】

 

 ソフトバンクの工藤公康監督は私の姿を見つけるやいなや「ずいぶん朝早くからいらっしゃるんですね!」と帽子を取って自ら歩み寄ってきた。キャンプが始まって半月が過ぎたが、時折白い歯をのぞかせる新指揮官とじっくり話し込んでいると、それなりの手応えを感じ取っている様子がうかがい知れた。

 

 昨季日本一に輝いたことでチームの雰囲気もいい。オフに右足首を手術した長谷川の回復具合は気になるところだが、チーム全体の仕上がりはおおむね順調のようだ。しかし、今季から就任したばかりの工藤監督には個人的に気にしているところがある。同じく新任の佐藤義則投手コーチとの“力関係”だ。

 

 チーフ格を務める佐藤コーチに「もちろん今の時点では(投手に関することすべてを)任せています」と言い切っていたが、問題はシーズンが始まってからもそういう気持ちでいられるかどうかである。

 

 言うまでもなく新指揮官も投手出身。長いシーズンにおいて投手陣が苦しい状況に追い込まれることは当然想定しなければならない。その時に投手のチーフコーチを差し置いてあれやこれやと横やりを入れるようなことをすれば、首脳陣間のバランスは崩れてしまう。いくら監督といえども、これまで多くのチームで投手コーチとして実績を残してきた佐藤コーチの立場は尊重してあげなければならない。

 

 その辺りについて、工藤監督は「それはよく分かっています」とうなずき、しっかりと肝に銘じていた。賢く頭脳明晰な彼なら“でしゃばり過ぎないスタンス”を貫き通せると信じたい。

 

 今季のホークス投手陣は特にメジャーから帰ってきた松坂の復活に注目が集まっているが、この怪物右腕の再生の行方にも工藤監督と佐藤コーチのパワーバランスが大きく関連している。自分は投手コーチではなく、あくまで監督なんだ――。新指揮官が、そう自らに言い聞かせ続けられるかに注目したい。(本紙専属評論家)