51歳の新人指揮官が大ハッスルだ。ソフトバンクの工藤監督が15日、打撃投手を買って出た。

 マウンド手前3メートル付近から対峙したのは「安打製造機」の異名を持つ内川。往年のフォームからテンポ良く繰り出したボールには、さすがの天才打者も「回転がいいと、これだけキレがあるんだと思った」と舌を巻き、時折差し込まれる場面もあった。

 スタンドのファンは通算224勝を誇る左腕の“復活劇”に大感激。89球を投げてもらい、場外弾2発を含む15本の柵越えを披露した内川も「幸せでした。俺だけの思い出として残してやろうと思った。(球速は)120キロくらいかな。もう少しくらい出ていたかも」と興奮していたが、指揮官自ら登板したのは、何もファンや内川を喜ばすためだけではない。

 工藤監督は今回の対戦を通じ「バットがボールの軌道にスッと入ってくるのは、落合さん(現中日GM)みたいだった」と内川の特徴を再認識。その上で「3番を任せたい。あれだけ打てるんだから」と打順の適性に答えを出した。ソフトバンクでは李大浩、柳田とともに内川も4番候補に挙げられていたが、7年連続打率3割の打撃センスと高い出塁率を最大限に生かす打順こそが3番だと判断したようだ。

 現在、12球団で投手出身の指揮官は工藤監督ひとりだけ。今後は松坂の打撃練習にも“投手”として付き合う考えで、最大の武器である左腕を積極的に活用していく。