伊原氏がオリックス・中島に感じた「強い覚悟」

2015年02月16日 11時00分

中島(右)の特守をチェックする伊原氏

【伊原春樹 新・鬼の手帳】オリックスに新加入した中島裕之は、苦労した分だけ大人になっていた。宮崎キャンプでは元気に躍動し、何か悟りの境地を切り開いたような印象を持った。3年ぶりとなる日本球界復帰だが、米国で味わった悔しさを晴らす活躍を必ず見せてくれると信じたい。

 

 アスレチックスのマイナーで過ごした2年間は確かに不遇だった。期待されながらスタート直後のキャンプ中にケガをしてしまったことが、今にして思えば運の尽きだったのかもしれない。

 

 ア軍の編成トップは日米問わず球界関係者なら誰もが知る「マネー・ボール」で有名なビリー・ビーンGM。超ドラスチックな考えを持つGMの下で、最もアピールをしなければならない大事な開幕前に戦線離脱してしまったことは、致命的だった。

 

 それでGMを筆頭に球団幹部の印象を悪くしてしまい、結果的に飼い殺しにされてしまったのだろう。私は彼の“失われた2年間”を、そう分析している。

 

 それでも中島は野球人としての意地と誇りを失わなかった。それが証拠に今キャンプでも居残り特打に嫌な顔ひとつ見せずに率先して参加し、コーチのノックを泥にまみれながら受ける姿を見て強い覚悟も感じ取った。

 

 何でオリックスを選んだのか? 私の問いかけに中島はこう答えた。

 

「オリックスは僕の地元の球団。1996年から長い間、ここまで優勝していないし、フロントの方々から『どうしても今シーズン優勝したい』と言われ、最も熱心に誘われたので決めました。僕は西武で優勝の経験もあるし、若い選手が多いこのチームなら自分の力を発揮できるのではないかと思っています。とにかく、いいプレーを見せたいですね」

 

 裏表のないコメントをするのは昔と同じだが、その落ち着いた立ち居振る舞いからは、度重なる困難にぶつかっても決してめげなかったことで、蓄積された高い経験値が感じられた。苦悩し続けた米球界でつかんだ“何か”を中島が見せてくれれば、オリックスの悲願達成はグッと現実へ近づくはずである。(本紙専属評論家)