球団創設80周年を迎えた阪神が、3月8日の巨人とのオープン戦(甲子園)で、永久欠番である伝説の初代ミスタータイガース・藤村富美男氏(元本紙専属評論家)の背番号「10」を和田監督ら首脳陣、ナイン全員がつけることが分かった。記念企画の一環で虎のキング・オブ・レジェンドに球団を挙げて敬意を表するもの。さらには巨人の終身名誉監督・長嶋茂雄氏(78)に「祝福ビデオメッセージ」をお願いすることも計画されている。

「今年は球団にとって節目の年。シーズンを盛り上げるべく、いろんな記念イベントをやっていきたい」という南球団社長の大号令のもと、阪神では球団創設80周年の記念企画が目白押しだ。すでに公式戦の甲子園4カード計12試合を「LEGENDS DAY」とし、記念映像放映、イベント、セレモニー開催を決定。4月17日からの巨人3連戦では1985年阪神日本一の「伝説のバックスクリーン3連発」シーンを取り上げるなど、催しものが次々と行われる。

 そんな中、ここへきて決まったのが開幕前の3月8日の巨人とのオープン戦(甲子園)で和田監督ら首脳陣、ナイン全員が、永久欠番である初代ミスタータイガース・藤村富美男氏の「背番号10」をつけて試合に臨むことだ。もともと、その日は「永久欠番デー」と銘打たれ、藤村富美男氏と“燃える男”村山実氏、“今牛若丸”の異名を取り85年日本一監督の吉田義男氏の虎のレジェンドと同姓の800組1600人を招待するなどの企画が行われることになっていた。そこに「藤村氏こそ阪神のキング・オブ・レジェンド。球団挙げて敬意を表するのはこれが一番だ」(球団幹部)と「全員背番号10」が新たに追加されたのだ。

 藤村氏は92年に亡くなったが、阪神の黎明期(大阪タイガース)から主砲として活躍。長尺バットの「物干し竿バット」がトレードマークで本塁打王3回、打点王5回…と挙げればきりがないほどの実績を残し、野球殿堂入りも果たした初代ミスタータイガースだ。82年から本紙専属評論家として健筆をふるった。厳しい言葉も交えながらタイガースを愛し尽くした人でもあった。

 ナインも気合が入らないわけがない。生え抜きのベテラン福原は「偉大すぎる方ですからね。(10番を)背負うからにはしっかりした試合をしないといけない」と腕をぶす。当日は虎の背番号10軍団が魂を込めたプレーを披露するはずだ。

 記念企画では、さらにもうひとつ。ミスタージャイアンツ、ミスタープロ野球である長嶋茂雄氏に阪神80周年への「祝福ビデオメッセージ」をお願いすることを計画中という。長嶋氏は巨人監督時代に「阪神が強くならないとシーズンが盛り上がらない」と何度も同じ伝統球団の阪神にエールを送っていた。それだけに「甲子園球場のビジョンなどで長嶋さんに阪神戦の思い出とかを語ってもらえたら、ウチのファンも大喜びするに違いない」(球団幹部)となっているわけ。もちろん、実現すれば大きな話題になることだろう。

 楽しみいっぱいの球団創設80周年企画。現場の和田監督としても、この節目の年、何が何でもV奪回を果たすしかない。