ダルビッシュ流肉体改造は〝危険〟

2011年08月14日 16時14分

 日本ハムが12日、札幌ドームで行われたソフトバンクとの首位攻防3連戦の第1ラウンドに4-0で快勝した。首位とのゲーム差を2・5に縮めた立役者はもちろん、絶対エースのダルビッシュ有(24)。今季5度目の完封で15勝目を挙げたスーパー右腕は、日本人選手には到達不可能な領域での肉体改造に成功。現在では「安易に〝ダル2世〟を目指すのは危険」と指摘されているほどだ。

 15勝目(3敗)は、5安打14奪三振、今季5度目の完封劇で仕上げた。前回、いやらしい単打野球で黒星をつけられたソフトバンク打線を力でねじ伏せ、「外中心の配球になって同じような打撃をしてくるようなら、厳しくいかないといけない。同じような気配があったので内をどんどん使っていった」(ダルビッシュ)。最速154キロの直球を決め球に、博多のあだを札幌で討った。

 

 そんなダルビッシュに吉井投手コーチが「並の投手なら(内角は)打ちやすい。ダルはレベルが違う。解説できない」と舌を巻けば、捕手の鶴岡も「1回から9回まで気合が入っていた。打てる球がほとんどなかった」。自己最速の15勝はシーズン24勝ペース。120球を超えた9回に150キロを連発した右腕は「疲れを感じないようなトレーニングをしているんで、全然しんどくはないです」と涼しい顔で振り返った。

 

 身長196センチ、体重102キロ。すごみを増したダルビッシュの投球を支えるのは、昨オフに行った肉体改造だ。一部メジャー関係者の間で「体が大きくなって本来持っていたしなやかさがなくなった」という声があるものの、打席でその恐怖を実感する打者たちは「すごさのレベルが違う」とお手上げ状態。オフのわずか3か月で手に入れた10キロの筋量アップの正当性を結果で証明し続けている。


 しかし、ダルビッシュのこの短期変身型肉体改造が今後、日本人投手のトレンドになるのかというと、そう単純ではない。「ダルさんみたいになりたい!」と言う若手投手がいる一方で、あるパ・リーグの主力投手は「あの体作りは正直まねできない」。多くの日本人メジャーリーガーと交流のあるセ・リーグ球団のトレーナーは「普通、急激に体を大きくすると、筋肉が硬くなって腱や関節に大きな負担がかかってくる。松坂(レッドソックス)や岩村(楽天)がそうだったように、日本人には大きなリスクが伴う」と、重大な故障につながりかねないと警鐘を鳴らした。


 これらに共通する理由は「ダルビッシュはハーフだから、筋肉や骨格を含めた体質が普通の日本人とは違う」ということ。自分の体質を理解せずに行う肉体改造で得られる効果は少ないと、現場は考えているようだ。「日本では非常識でも、メジャーでは珍しくないトレーニング方法」(ナ・リーグスカウト)というダル式肉体改造は、普通の日本人選手には、まねのできない危険なトレーニングで、ダルビッシュがそれだけ規格外の投手ということ。安易に「ダル2世」を目指すのは、やめたほうがよさそうだ。