楽天の大久保博元監督(48)が9日、前がかり気味のドラフト1位ルーキー・安楽智大投手(18=済美)に“待った”をかけた。11日の一、二軍振り分けを前に、指揮官は「彼(=安楽)が言うように2桁勝利を目指すのなら久米島に残った方がいい」と明言。今後は一軍の2次キャンプ地である沖縄本島の金武町に連れて行かず、二軍と合流させて、みっちりと投げ込みをさせる方針を打ち出した。

 キャンプも第2クール最終日を迎え、さすがの157キロ右腕もヘロヘロだった。5度目のブルペン入りとなったこの日は捕手を座らせ今キャンプ最多の79球を投げたが、ボールにキレはなく制球もばらつき、安楽は「最悪でした。見ていただいたように一番悪かったです」と唇をかんだ。そんな疲れきったルーキー右腕の姿に指揮官は「クタクタの球だった。毎日、追い込んでいるんだから疲れていて当たり前」と同情的だった。

 疲労の原因は体力的なものだけではないとの判断も首脳陣にはあったようだ。あるコーチは「安楽は見られていると必要以上に頑張ってしまう。今日の状態だったら途中で(投球を)やめても良かった。だけどマスコミに見られていることで無理をした。ヒジを故障したこともあったし、このまま一軍でいるより注目度が薄まる二軍の方がいい」と指揮官の決断の背景を説明。「開幕一軍」と「新人王」を目指す安楽の気持ちをくんだ上での二軍行きであることを強調した。

 なんでも安楽は「今まで大観衆の前で緊張したことがない」そうで、注目されればされるほど力が出るタイプだが、オーバーワークで故障でもしたら元も子もない。久米島残留は金の卵を守るための善後策でもあったようだ。