二塁手のレギュラー奪回に燃える阪神・西岡剛内野手(30)が若手ナインへの“活入れ役″を自ら宣言した。これまで「二塁を守れないなら控えでもいい」など自己チュー発言で物議を醸してきた男が、元気のない若手に代わって声出しも率先してやるという。その狙いはいったい…。

 自らのけがで正二塁手の座を上本に奪われた西岡は目下、レギュラー奪回に向けて熱く燃えている。今オフは、あの清原和博氏も師事したケビン山崎氏の元で肉体改造に着手。「今年は自分自身、己に勝つ!をテーマにやっていく。いくら練習したとか、これだけやったとか関係ない。結果を出して認めてもらうしかない!」と“西岡節”を何度も炸裂させてきた。

 そんな西岡が今度は初の一軍キャンプで緊張感いっぱいの北條、西田ら若手ナインへの“活入れ役″まで宣言だ。「若手がおとなしいから声出しもやる。一軍に初めて来て鳥谷さん、福留さんが前で打っていたらやっぱり緊張するだろうし、それを和らげるのは中堅選手の役目ですよ」

 確かに今キャンプでは口下手な上本、そして静かな若手らとは対照的に西岡のはつらつとした声が球場に響いている。これも和田監督が「若手より鳥谷らベテランの方が活気がある。緊張するのは仕方ないんだけど…」とこぼしたことに、西岡も反応した格好だろうが、それにしてもここまで殊勝な態度をアピールするのはどういうわけか。

 ある球団幹部はこう指摘した。「一番は後がないという危機感があるのだろうけど、鳥谷に向けたアピールもあると思う。もともと、そりが合う間柄ではないし、鳥谷は若手からの人望もある。西岡にすれば、今年自分は変わったというところを少しでも見せておかないと、と思ってるんじゃないか。チームにとっては今の西岡の姿勢はいいと思うよ」

 海外FA権を行使した上で残留した鳥谷は球団と「5年20億円」の大型契約を結び、生涯虎を誓った人物。対して、外様の西岡は何が何でも汚名返上を果たさないといけない身分。それだけに今回は鳥谷の「心証」も良くしておけばの狙いもあったということか。とはいえ、これも西岡のキャラのひとつで、若手の見本として声出しから活を入れる役までこなしてくれるのなら球団としても大歓迎だ。

 キャンプ前は「二塁で勝負して試合に出られないなら控えでもいい」と自己チュー発言し、物議をかもした西岡だが、それも今や昔。いずれにせよ、この男もまたV奪回のキーマンであることは間違いない。