巨人・阿部「プロ15年目で一番プレッシャー感じる」

2015年02月04日 08時10分

金属バットで160キロマシンを打ち込む阿部

“新成”をスローガンに掲げる巨人で最も注目されているのが、捕手から一塁手へ転向した阿部慎之助内野手(35)だ。原辰徳監督(56)から「3割、30本塁打、100打点」を期待される背番号10に、さっそく本紙評論家・前田幸長氏が直撃。新たな挑戦にかける胸中に迫ると、意外な本音をのぞかせた。

【前田幸長・直球勝負】巨人のキャンプ地を訪れて、まず気になったのが慎之助のコンディションだった。満身創痍のなかで昨季を戦い抜いたものの、打率は規定打席到達者で最低の2割4分8厘、本塁打も19本と不振が際立った。打撃フォームを変えたとのことだったが、これまでは何がどうダメだったのか?

 阿部「一昨年の11月くらいから、すでにおかしかったんですが、(昨年まで)ずっと変な感じだった。特に(構えたときに)頭を右肩に乗せることができなかったんですよね」

 慎之助によると首が思うように回らず、あごを右肩に乗せる感覚で顔の正面で投手を見る、本来のフォームができなくなっていたという。しかも首の痛みで内角へのボールに瞬時に対応できず、打球もラインドライブがかかってしまう悪循環。スイングする前に、一度バットを立てる動きもできず「バットが寝たまま出ていた」こともすべて首の影響だったという。しかし、このオフに徹底的な首への治療で痛みは解消。昨年の“悪癖”を直すことができているようだ。

 原監督からは「3割、30本塁打、100打点」を最低ノルマに課されていると聞く。捕手という心身の負担が大きいポジションを離れて打撃に専念できるとなれば、周囲の目は“打てて当然”となる。打てなければ今まで以上のバッシングにさらされるのは必至だ。

 率直にそのプレッシャーについて聞いてみると慎之助は「イエス!」と即答。そして「今まで、プロ15年目で一番感じています。捕手もやっているし、キャプテンだったからとは(周囲も)見てくれないですからね」と本音を明かしてくれた。

 思うような結果が残せなければ別の問題も浮上してくる。「コンバートした上で数字が伸びなければ年齢的にも進退を問われると思うが、その危機感はあるのか?」。その問いにも慎之助は「イエス!」と答え、こうも付け加えた。「あと5~6年はやりたいし、やりますよ」。2000安打まであと280本、あこがれの掛布雅之さんの本塁打数(349)まで残り3本で、その先には400本塁打の大台も見えてくる。捕手のポジションからは離れたが、モチベーションは少しも下がってはいないようだ。

 慎之助のいないホームベースは2年目の小林を中心に守ることになる。“元正捕手”から見る、小林の課題についても聞いてみた。

 すると慎之助は「アドバイスは特にないですね。だからといって突き放すわけではないですし、聞かれたら答えますよ」と言いつつ、これ以上の言葉は濁した。捕手には未練がないと言い切っているが、ここだけ彼の“捕手としてのプライド”を垣間見た。捕手だけでなくバットでも巨人を支えた男だ。相手はプロ2年目の若者。まだまだ“語るに及ばず”の心境なのだろう。

 今年36歳。プロ15年目にして最大のプレッシャーと向き合う慎之助の2015年に注目したい。(本紙評論家)