2月1日からの沖縄・宜野座キャンプに向けて、阪神ナインに不安が広がっている。昨季までムードメーカーだった“新井兄弟”が不在となるからだ。一方で首脳陣や関係者からは、生え抜きのムードメーカー発掘に最大のチャンスと捉える声も…。阪神は“アライロス”を乗り越えることができるか。

「去年まですごく盛り上げてくれたから…。2人ともいないとなれば心配ですよ」とある選手は表情を曇らせた。「2人」とは兄・貴浩(37)と弟・良太(31)の新井兄弟のことだ。貴浩は古巣・広島へ移籍。良太は昨季終盤に発症した腰痛からの復活を目指し、万全を期すために初の二軍(安芸)スタートとなった。

 これまで阪神のキャンプでは新井兄弟がチームの盛り上げ役を買ってきた。貴浩はシーズン同様、ロッカールームや宿舎などで時に自虐的な“小ボケ”でナインの心をほぐし、グラウンドでも鳥谷や西岡など後輩からいじられ、笑いを誘ってきた。

 良太も練習中にチーム一の大声で盛り上げ、和田監督も「あの声が聞けないのは残念だな…」と漏らしたほど。そんな2人がいなくなるだけに「鼓舞してくれる人間が一気に2人もいなくなるんだから、不安になるのも当然だ」(球団関係者)と“アライロス”が心配されているわけだ。

 しかし、あるコーチは「この状況は逆にチャンスとも言える。このキャンプでそういう選手を発掘しないといけない」とみている。

 その理由について球団関係者は「今までは新井兄弟に頼っていたところもあっただろうし、遠慮していた選手もいたかもしれない。ただ、2人が同時にいなくなったことで新たな素材も出てきやすくなる。このキャンプで2人に代わる盛り上げ役が出てきてほしいし、出さないといけない。シーズンのためにも、若い生え抜きの盛り上げ役が必要だ」というわけだ。

“ポスト兄弟”となりそうなのは、未来のリーダーと期待される梅野や、一軍キャンプに抜てきされた北條、西田、陽川といった若虎たち。果たして虎に新たな“にぎやかし”は登場するか。