海外FA権を行使した上で阪神に残留した鳥谷敬内野手(33)が22日、西宮市の球団事務所で新たに5年総額20億円(推定)の大型契約を結んだ。憧れのメジャー挑戦を断念し「(現役を)阪神で終わりたい」と生涯虎も宣言したが、この鳥谷について球団側には心配事があるという。それは…。
海外FA権を行使しての残留劇。鳥谷は「(残留を)決めたのは本当に阪神で優勝したい気持ちが強くなったからです。日本一にもなりたい。(現役を)阪神で終わりたいと思う」と話した。メジャーへの未練はない。継続中の1466試合連続出場はプロ野球歴代3位の記録で、遊撃手として3年連続フルイニング出場も続けている。「試合に出続けるのは常にこだわっている」と言い、万年Aクラス争いのチームの問題点にも「開幕から勝てる試合をしっかり勝っていくことが大事。それの積み重ね」との見解を述べた。
そんな鳥谷の決意表明に高野球団本部長は「鳥谷抜きにチーム編成は考えられない。よく残ってくれた」と大喜びだったが、実は球団サイドがひそかに心配する“案件”がある。「今年、鳥谷が契約に見合った活躍ができないと世間は厳しい目で見る。メジャーの条件よりもウチが良かったのは周知の事実になっているし、残念ながら“夢よりお金を選んだ”と見られている側面もある。だから例年以上に結果を出さないと批判は避けられない」(球団幹部)。“猛バッシング”を警戒しているのだ。
残留で鳥谷は球団史上最高額とされる5年総額20億円の大型契約を結んだが、すでにネット上では「鳥谷は夢よりも金をつかんだ」「結局、つり上げが狙いだったか」などと書き込まれた。鳥谷と親しい球団関係者からも「これも性格だから仕方ないけど、鳥谷のメジャーへの熱い思いが語られなかったことで余計にそうした見方が増えたのは痛い。2002年オフに同じようにFA宣言してメジャーを目指していた中村ノリ(紀洋)が(その時)結局、なんだかんだで条件のいい近鉄に残留したのと同じように見られかねない」との声もある。
鳥谷は練習熱心でナインから信望が厚く、球団グッズの売り上げも一番の人気者。そこまで心配する必要はないかもしれないが、球団にしてみれば気になるのだろう。くしくも広島に電撃復帰した黒田がメジャーでの20億円もの契約オファーを蹴って、条件の低い古巣に戻る「おとこ気」を見せただけに、なおさらというわけだ。
実際、阪神の場合、高給選手が成績不振に陥れば、批判の声はハンパではない。かつて日本ハムからFA移籍してきた片岡(現評論家)は心ないファンから脅迫めいた手紙が何度も届くなど「いろんなことを言われて余計、打てなくなった」と不眠症になったこともある。
「鳥谷にそういうイメージが浸透しないよう球団として何か考えないといけないが、一番は鳥谷が活躍して、そんな見方を封じるしかない」とは首脳陣の一人。今年の鳥谷は“夢よりお金を選んだ男”との批判も自らのバットで吹き飛ばさなければならない。
鳥谷「生涯虎宣言」で阪神球団に心配事が…
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