タイトルではないが、打率、打点、本塁打の3部門でトップに立つ3冠王と並び称されるのが、同一シーズンに3割、30本塁打、30盗塁をクリアするトリプルスリー。過去に8人しか達成しておらず、目標とする選手は多い。その最有力候補の一人がソフトバンク・柳田悠岐外野手(26)だ。本人も意識はしており、オリックス・糸井との自主トレも順調に消化。来月1日からのキャンプに向けて「体は出来上がってると思います」と好調をアピールしたが、チーム内からはトリプルスリーを目指す柳田に“待った”がかかっている。

 首脳陣の一人は「トリプルスリーより40発100打点を目標にしてほしい。あの足があれば普通にやっても内野安打で打率は稼げるし、盗塁数だって増える。あれだけパワーがあるんだから小さくなってほしくない」と声を大にする。そんな注文がついたのは、昨夏から秋にかけて当てにいく打撃が目立ったからだ。

 原因はスポーツ紙などに掲載される打撃成績だった。7月半ばに3割4分台を誇っていた柳田の打率は、3割5分台の糸井に続く第2位。本人も「新聞を見て思わずにやけてしまいますね」と話すなど、かなり気にしていた。そして成績が下降線をたどり始めると“打率を落としたくない”との意識が働いたのか、振り抜く打撃から当てる打撃に。最終的には打率3割1分7厘でリーグ3位に踏みとどまったが、本塁打は15本どまり。7月30日の楽天戦から9月18日のオリックス戦まで44試合ノーアーチだった。

 柳田の最大の魅力は、王球団会長も認める長打力。いっそのこと8人が達成しているトリプルスリーより日本では誰もなしえていない40本塁打、40盗塁でも狙ってみてはどうか…。